県ホームページに掲載されている「犯罪者から狙われない 防犯女子入門」。窓際を女性の一人暮らしと分かるようなカーテンや飾りにしないことなどを挙げている
県ホームページに掲載されている「犯罪者から狙われない 防犯女子入門」。窓際を女性の一人暮らしと分かるようなカーテンや飾りにしないことなどを挙げている
バッグを車道側に持たないことや、エレベーターに知らない人と二人きりで乗り合わせないことなどを挙げている「外出編」(県ホームページより)

 「新潟県と県警のチラシ、おかしいと思います!」。新潟日報の「もっとあなたに特別報道班」(もあ特)会員の女性から、こんなメッセージが寄せられた。一体、どんなチラシなのか。(報道部・黒島亮)

 女性が指摘したチラシは県と県警が作った「犯罪者から狙われない 防犯女子入門」。「自分を守る防犯テクニックで犯罪者から狙われない『防犯女子』を目指そう!」と書かれている。

 具体的な方法として「窓際は、女性の1人暮らしと分かるようなカーテンや飾りにしない」「下着はもちろん、衣類を外に干さない」などと挙げている。

 チラシはホームページに掲載しているほか、県県民生活課によると、2月ごろに約5万部を作成し、市町村や警察署に配布。活用については配布先に任せている。

 こうした注意喚起について、女性は「カーテンの柄や干す洗濯物まで事細かく決められるのはおかしい」と批判。「悪いのは加害者なのに、被害者側の行動を制限するのは違和感を覚える。気をつけることは必要だが、目指すべきは一人で夜道を歩いても犯罪が起きない社会。これは被害者が男女どちらでも言えると思う」とコメントした。

 これに対し、県民生活課の担当者は「注意を呼びかけるチラシは特殊詐欺などでも作っている。女性が被害に遭う性犯罪が問題になっており、自分で自分の身を守る大切さを知ってほしかった」と説明する。

 新潟国際情報大学の矢口裕子教授(ジェンダー論・文学・英語)は、「注意を促す必要はあるが、本当に女性だけが気を付けなければならないのか、事例ごとに検討する必要がある」と話す。

 実際、男性がドメスティックバイオレンス(DV)やセクハラの被害に遭うケースもあり、心と体の性が一致しない人もいる。

 「防犯女子入門」のチラシでは「バッグはたすきがけにして、車道側に持たない」や「エレベーターには、知らない人と二人きりで乗り合わせない」といったポイントも挙げている。

 矢口さんは「このような対策は、性別に関係なく言えることで、女性だけを対象にする必要性はない」と指摘した。