
黒田俊郎・新潟県立大教授
今年の夏で日本は戦後77年となった。列強に追い付こうと「富国強兵」を掲げた明治政府の成立から1945年の敗戦までも、同じ77年。戦前日本は軍が主導し、破滅的な終焉(しゅうえん)を迎えた。対して、戦後日本は平和主義とともに経済最優先の道を選び、成功を遂げた。しかし、その土台は揺らぎつつあるのかもしれない。
日本平和学会の元会長で、新潟県立大副学長の黒田俊郎教授(64)=国際政治=は「戦後の社会と平和が時間の経過で摩耗している」と現状を懸念する。要因として戦前、戦後に共通する経済低迷に端を発した社会の閉塞(へいそく)感を語る。
第1次世界大戦(1914〜18年)で日本は戦争特需の好景気に沸いた。...
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