閣僚・党役員から新人議員に至るまで一体どれだけの議員に教団との接点があったのか。ずぶずぶの関係と言うしかない。
自民党は議員個人に任せるのではなく、党として徹底的に調査して説明する責任がある。
岸田政権の政策推進の要である萩生田光一政調会長と、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が明らかになった。
萩生田氏は6月、地元の東京都八王子市にある教団関連施設を生稲晃子氏(現参院議員)と共に訪れた。出馬を控えた生稲氏への支持拡大が目的だったとみられる。
自身の資金管理団体などが教団の関連団体に計9万円の会費を支払っていたことも判明した。
記者団に対して萩生田氏は、事前に関連団体の会員が集まる場だと認識していたと認めた。「昭和の時代の(霊感)商法は知っていたが、その後、悪いうわさを聞くこともなかった」と釈明した。
教団を巡っては、高額献金や霊感商法で多くの人が被害に遭っている。記者団に今後の関係を問われ「活動は一線を画す」と答えたが、これでは関係を断つのかどうか分からない。
先の内閣改造・党役員人事で、岸田文雄首相はその時点で教団側との接点が分かった7閣僚を交代した。人事を一新し、世論の批判をかわす狙いがあった。
改造にあたって首相は、教団との関係を自ら点検し、結果を踏まえて厳正に見直すことを了解した者のみを任命したと強調した。
その後、祝電や選挙支援といった接点が判明した閣僚は8人、副大臣と政務官は23人にも上る。
議員の自己点検に委ねた対応の無力さが露呈した。強まる国民の不信を払拭するには、首相は党に教団との関係を抜本的に調査するよう指示し、決別宣言するべきだが、そうした姿勢は見えない。
教団と自民との関係は反共を掲げた関連団体、国際勝共連合ができた1968年にさかのぼる。安倍晋三元首相の祖父、岸信介元首相らが賛同して関係を深めた。
共同通信社が全国会議員を対象に行ったアンケートでは、教団側と接点があった議員は106人で、自民議員が82人と8割を占めた。濃密な関係がうかがえる。
新潟日報社の取材では、本県関係14人中8人が接点を認めた。接触があったのは、全員が自民議員か同党候補者の時だった。
内閣改造後に共同通信社が実施した世論調査では、教団との関わりについて、自民や所属議員の「説明が不足している」との回答が9割に達した。国民が納得するには程遠い状況だ。
野党は追及を強める方針で、早期の臨時国会召集の要求書を衆参両院議長に提出した。
自民が問題と真摯(しんし)に向き合わなければ疑念は膨らむ一方だ。そのことを自覚してもらいたい。
