臨時国会召集の直前に接点を認めたのは、国会での追及をかわしたい政権の思惑からだろう。だがこの内容では不十分だ。

 3日開会の臨時国会で教団と政治の関係を解明し、問題の本質に迫ってもらいたい。

 細田博之衆院議長が9月29日、自身と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との関係を認める文書を公表した。

 教団側の関与が指摘される議員連盟の名誉会長を務めたほか、関連団体の会合に計4回出席したことを明らかにした。

 しかし公表したのはA4の紙1枚のみで、選挙で支援を受けたかや、関係をどう断ち切るかなどの詳細は不明な点が多い。

 一方的な説明に終始していると野党が批判するのはもっともだ。

 細田氏はこれまでも教団側との関係が指摘されていたが、自民党が党所属国会議員を対象に行った調査は党派離脱中のため、対象から外されていた。細田氏自身も説明を避けてきた。

 衆院議員運営委員長が、公表文書に批判があることを伝え、細田氏は補充説明する意向という。

 立法府の議長という立場に恥じぬよう、きちんと調査し、結果をつまびらかにしてほしい。

 公表済みの文書でも細田氏と教団側の深い関わりがうかがえる。

 細田氏は2021年6月に教団と関係があったという「日本・世界平和議員連合懇談会」の名誉会長に就任した。

 教団創設者の文鮮明(ムンソンミョン)氏が提唱したとされる日韓トンネルの推進議連で顧問だったこともある。

 19年10月には国際会議に出席した。「招待があったので出席してあいさつした」と説明した。

 この会議の動画があり、細田氏は「今日の会の中身をさっそく安倍総理に報告したい」とスピーチしている。

 会合に出席するばかりでなく、首相の名まで挙げてあいさつしたのはどういう意図か。

 自民党が公表した追加調査結果では、接点があった国会議員は180人に上る。安倍派(清和政策研究会)の議員が多く、細田氏はその領袖(りょうしゅう)だった。

 教団票を取りまとめていたのが細田氏だとも指摘される。

 党最大派閥のトップと教団側の関わりが政策に影響したかについても検証しなくてはならない。

 気になるのは、岸田文雄首相にこの問題について指導力を発揮する様子が見られないことだ。

 党の調査は後手に回り、政治と教団の関わりが注目されるきっかけになった安倍晋三元首相の調査についても否定的だ。

 この問題への対応が内閣支持率の低下を招いた要因の一つとされている。首相は及び腰でいるのではなく、国民が高い関心を寄せていることを強く認識し、問題解決に取り組まねばならない。