日本選手シーズン最多本塁打、さらには史上最年少三冠王というプロ野球記録を塗り替える偉業達成をたたえたい。
プロ野球ヤクルトの村上宗隆内野手が、今シーズン最終戦の最終打席で56号本塁打を放ちが1964年に打ち立てた55本の記録を、58年ぶりに上回った。
2013年にバレンティンさん(ヤクルト)がつくった60本に次いで歴代2位の記録だ。
村上選手は本塁打王に加え、打率は3割1分8厘で首位打者、打点134の打点王も獲得し、打撃主要3部門のタイトルを独占する三冠王にも輝いた。
プロ5年目の快挙だ。三冠王は04年の松中信彦さん(ダイエー=現ソフトバンク)以来18年ぶりとなり史上8人目になる。22歳での達成は落合博満さん(ロッテ)の28歳を6年しのぐ。さらなる飛躍が楽しみだ。
今季は史上初の5打席連続本塁打や、40号、50号をそれぞれ最年少で到達し、記録ずくめだった。チームのセ・リーグ連覇にも大きく貢献した。
王さんに並ぶ55号を打った後は60打席本塁打が出ず、プレッシャーに苦しんだが、強い精神力で重圧をはねのけた。最終打席での劇的なアーチには、ファンのみならず多くの人が興奮した。スター性を持った選手の証しだ。
村上選手は左打者ながら左投手を全く苦にしなかった。対右投手より打率が良かった。
本塁打の打球方向では、右方向に25本、中堅に13本、左に18本と広角に打ち分けた。王さんやバレンティンさんは引っ張った打球が圧倒的に多かった。
村上選手がどの方向へも打つことができるのは、ヨガやストレッチを熱心に続けた成果で、股関節などの柔らかさのためだとも指摘されている。
本人は「先輩方はもっと偉業を成し遂げている。僕もこれから続けていくことが大事」とコメントしている。
今後も日々の練習を怠ることなく、さらなる高みを目指してほしい。
高校生だった16年に熊本地震を経験した。熊本城の復興にと、本塁打を打つごとに寄付を続けており、故郷への思いも強い。
今季は4月に、20歳のロッテ佐々木朗希投手が28年ぶりの完全試合を成し遂げた。若手が活躍したシーズンだった。プロ野球選手を目指す子どもたちに大きな夢を与えたに違いない。
