オレンジ色に染まったスタジアムが歓喜に揺れた。

 サッカーJ2リーグのアルビレックス新潟は8日、ベガルタ仙台に3-0で完勝し、J1リーグへの自動昇格圏内2位以上が確定した。

 来季は2017年以来、6シーズンぶりに日本サッカー最高峰J1でプレーすることが決まった。

 多くの県民にとって待ちに待った悲願の達成だ。選手やスタッフの努力をたたえ、喜びたい。

 アルビは2試合を残し、勝ち点81に達した。3位の岡山が残り試合を全勝しても、アルビの勝ち点を上回ることができない。

 最終節まで首位を維持し、J2リーグ優勝を成し遂げてほしい。

 8日の試合は、ホームのデンカビッグスワンスタジアム(新潟市中央区)で行われ、昇格決定の瞬間を見ようと、今季最多となる約3万3千人が詰めかけた。3万人を超えたのは、17年以来だ。

 大声援の中、圧倒的にボールを保持した。今季移籍した伊藤涼太郎選手が、後半に2ゴールを決めるなど力強い試合運びで、仙台を圧倒した。

 アルビはJ2に陥落後、18~20年は10位台に沈んだ。21年はシーズン前半に首位をキープし、昇格が期待されたものの、後半に失速し6位に終わった。決定力不足が響いたのが大きな要因だ。

 今季のアルビは「より攻撃的に!!」をスローガンにスタートし、攻撃陣が厚みを増した。ほぼ毎試合で得点を挙げて、総得点は8日の時点で71になり、リーグトップを誇っている。

 シーズン途中で、主力の本間至恩選手(新潟市東区出身)がベルギーのクラブに移籍したが、戦力がダウンすることはなかった。

 GK小島亨介選手を中心に守備も堅かった。零点に封じる試合も多く、安定した戦いが目立った。

 松橋力蔵監督にとっては、監督就任1年目での快挙だ。試合ごとに違った選手を起用し、その選手が活躍するなど采配が光った。

 昨季はコーチを務めており、選手一人一人の特長をよく捉えていることが大きい。指導では「選手が持つ本能を大切にする」ことを心掛けているという。

 サポーターはJ2降格以降、今年こそはと昇格を信じ応援し続けた。新型コロナウイルス禍による入場制限や、声援を送れないなど応援にも制約がある中で、グッズや手拍子などで選手を支えた。

 今季は6月までデンカビッグスワンで10連勝し、ホームでの強さが際立った。チームの快進撃を後押しした。

 9月10日に「声出し応援」がホームで再開され、2年10カ月ぶりに応援歌が響き渡ると、選手たちにさらなる力を与えた。

 フロントも、スタジアムで県内市町村のPRのブースを設けるなど、地域貢献を積極的に展開して盛り上げを図った。

 昇格は、クラブやサポーターが一丸になり取り組んだ成果だ。

 来季は、国内トップクラスの選手を擁するチームとの対戦となる。県民のチームとして、さらに盛り上げたい。