夢に描いたプロのマウンドに立って、輝きを放つ。そんな光景が今から楽しみだ。

 プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)が開かれ、本県関係では立教大の荘司康誠(こうせい)投手(新潟明訓高出)がロッテと楽天の2球団から1位指名され、抽選の結果、楽天が交渉権を獲得した。

 日本文理高の田中晴也投手はロッテに3位、帝京長岡高の茨木秀俊投手も阪神に4位指名された。

 本県関係選手のドラフト1位指名は、元ロッテの吉田篤史投手(日本文理高出)以来、31年ぶり4人目の快挙だ。

 昨年のドラフトでも3位(阪神)1人、育成ドラフトで4人が指名されている。本県野球界で育った選手の実力と将来性が評価されている表れだろう。

 荘司投手は「ここからが勝負ということを胸に刻んで、一流の選手になれるように頑張りたい」と抱負を語った。

 1位指名は栄誉であると同時に重圧も伴う。プロ入り後は新人らしく伸び伸びと練習に励み、エースに成長してもらいたい。

 荘司投手の魅力は、188センチの長身から投げる最速150キロ台中盤のストレートだ。切れ味あるスライダーやフォークボールなど多彩な変化球も併せ持つ。

 今春の東京六大学リーグではエースとして活躍し、大学日本代表のメンバーにも選ばれた。

 荘司投手の経歴からは、すぐに思い通りの結果は出なくても、あきらめずに努力を続けてきたことがうかがえる。

 エースを務めた新潟明訓高時代、3年の春と夏の県大会はいずれも初戦で敗退した。立教大では右肩の故障に悩まされた。

 そんな苦境にも屈せず、弱点と感じていた筋力と柔軟性を向上させ、投球フォームも見直した。

 好きな野球にひたむきに取り組んできた積み重ねが、プロ注目の選手へと一躍押し上げる大きな力になったに違いない。

 田中、茨木両投手は、今夏の甲子園出場を懸けた新潟大会決勝で投げ合った。延長戦になった激闘は高校野球ファンを感動させた。

 長岡市出身の田中投手は甲子園に2、3年生で2度出場し、最速150キロの直球に自信を持つ。

 茨木投手は札幌市出身で、帝京長岡高の指導に引かれ入部した。最速147キロの直球が武器だ。

 今季のプロ野球は、完全試合を達成したロッテの佐々木朗希投手ら若手が躍動した。厳しいプロの世界でもまれながら、一線での活躍を期待したい。

 今回の指名は、地元野球界にも大きな刺激となるに違いない。

 本県は、投手の球数制限などを取り入れ、長い目で選手を育成する方法を率先して進めてきた。

 子どもたちを故障させることなく、成長できる環境を引き続き整えてほしい。