祝日の朝、突然激しく鳴った警報音に多くの県民は驚き、不安を感じたに違いない。北朝鮮の止まらぬ暴挙に強い憤りを覚える。

 暴走は今後も続くと想定し、警戒を強めたい。政府や関係機関は、的確で迅速な情報収集と発信に努めてほしい。

 北朝鮮が3日朝、東方向に向けて弾道ミサイルを3発発射した。最初の1発は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性がある。

 政府は1発目の発射に際し、全国瞬時警報システム(Jアラート)で速報し、本県、宮城県、山形県を対象に建物の中や地下に避難するよう呼び掛けた。

 2回目のアラートで太平洋を通過したと発表したが、防衛省はその後訂正し、「日本海上空で消失したことを確認した」とした。ミサイルは飛行に失敗したとされ、詳しい調査と分析が待たれる。

 残りの2発は短距離弾道ミサイルとみられ、日本の排他的経済水域(EEZ)外の日本海に落下したもようだ。

 北朝鮮のミサイル発射は最近異常なほど増え、危険度も高まっている。平和を脅かし続ける行為は、断じて許すことができない。

 10月4日は青森県付近の上空を通過させる形で発射した。青森県などにJアラートが出された。

 11月2日には日本海と黄海に向け、短距離弾道ミサイルなど23発以上を発射した。1日の発射数では過去最多という。

 そのうち1発は、韓国が海上の軍事境界線と位置付ける北方限界線(NLL)を越えた。韓国軍は対抗措置としてNLL北側に戦闘機からミサイルを発射した。

 韓国と米国は10月末から5年ぶりの大規模な合同航空訓練を行っている。これに対し北朝鮮はミサイル発射で強くけん制してきた。

 挑発や報復が連鎖し、偶発的衝突に発展する恐れがある。北朝鮮が7回目の核実験を強行する懸念も根強い。

 日米韓は北朝鮮の暴走に歯止めをかけるため、結束して当たらなくてはならない。北朝鮮に影響力を持つ中国に働きかけるなど、国際社会との連携も必要だ。

 Jアラートの発令について政府は「ミサイルの軌道から日本列島上空を通過する可能性があると判断した」と説明し、訂正に関しては問題ないとの認識を示した。

 これに対し、Jアラートの対象地域の住民からは情報の精度向上を注文する声も出ている。

 本県は情報連絡室会議を開き、情報収集に追われた。Jアラートの訂正に戸惑う県民もいた。

 10月4日の発射の際は、対象地域から離れた東京都の島しょ部に誤って発信されるミスがあった。

 正確な情報を速やかに提供してこそ、システムに対する信頼が高まる。政府は、発令の経過や課題を詳しく検証し、改善を続けていく責任がある。