ウイルス禍で生活リズムが乱れ、ストレスを抱えている子どもたちが身近にいないだろうか。

 環境の変化に対応できず、不登校になるケースが急増している。

 子どもたちが置かれている状況をしっかり受け止めたい。国や教育委員会などは、相談しやすい環境づくりなどきめ細かな支援に力を入れてほしい。

 全国の国公私立の小中学校で2021年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒は24万4940人となり、20年度より約4万8800人増えて過去最多だったことが文部科学省の調査で分かった。増加割合も最も大きかった。

 本県も742人増え、過去最多の3854人となった。内訳は小学校が1195人(20年度比226人増)、中学校が2659人(同516人増)で、高校も997人(同70人増)となった。

 県教育委員会は、長引く感染禍で子どもの生活リズムが乱れたことや、20年度から学校生活で多くの制限があり、交友関係を築くのが難しかったことなどが影響したと分析している。

 全国も同様の状況が不登校の増加に拍車をかけたとみていい。

 学校が判断した小中学生の不登校理由は「無気力、不安」が5割近くを占め、「生活リズムの乱れ」と「いじめを除く友人関係」が1割前後と続いた。

 無気力、不安の背景には、感染禍で学校行事の中止や給食時の「黙食」など、楽しさが失われたこともあるとみられる。

 大切にしたいのは、不登校の子どもたちに寄り添った支援だ。

 かつては教育委員会設置の教育支援センターなどを通じて、再び学校に通えるようになってもらう対応が中心だったが、最近は学校以外に安心して過ごせる場所を確保することも重要だとする考え方が広がっている。

 民間のフリースクールが各地にでき、そこに通うケースも増えてきた。多様な学び方ができる受け皿として、国や自治体は強く後押ししてほしい。

 21年度の文科省の調査では、小中高校などが認知したいじめは最多の約61万5千件に上り、本県は約2万1千件と2年ぶりに増加したことも分かった。

 学校現場は感染拡大の対応やオンライン授業の導入などに追われ、一層多忙になっている。子どものSOSを受け止め切れていないとの指摘がある。

 スクールカウンセラーと学校が連携を密にして、子どもたちが安心して悩みを相談できる態勢をさらに整えたい。

 文科省は、柔軟なカリキュラムを組める不登校特例校の設置促進やオンライン授業を充実させて、支援を推進していくとしている。

 教員の増員も不可欠だ。課題解決につながる対策をしっかり講じてもらいたい。