地下通路「万代クロッシング」の入り口。遠方から移動するのは、むしろ危険だという=新潟市中央区
地下通路「万代クロッシング」の入り口。遠方から移動するのは、むしろ危険だという=新潟市中央区

 北朝鮮によるミサイル発射を受け、政府は3日朝、新潟県と宮城県、山形県に全国瞬時警報システム(Jアラート)で速報した。ミサイル発射で新潟県がJアラートの対象となったのは、2017年9月以来だった。警報発出時どのように行動したかや、感じたことなどに関して、新潟日報社の「もっとあなたに特別報道班」(もあ特)は、会員から体験談や意見を募った。安全な場所がどこなのかが分からず、どうすべきかが不明だという声が目立った。

 約40人から回答があった。多くの人は何も行動しなかったと答え、行動した人も「クローゼットの中に隠れた」「カーテンを閉めた」「窓から空を見た」などだった。

 国や自治体は、Jアラートでミサイル発射の警報が出たら、できるだけ頑丈な建物や地下に入ることなどを求めている。しかし、「安全に避難できる場所がどこにあるか分からない」(新潟市北区、60代女性)、「木造家屋にいて『安全な場所』と言われても…」(五泉市、70代女性)など、どこへ避難すればよいか分からないという声が多かった。

 県危機対策課は「屋内にいる人は、窓から離れていてもらいたい。屋外の人は近くの建物に入るか、入れなければ壁に身を寄せてほしい」としている。

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 3日のJアラートの対象のうち、宮城県では仙台市が緊急一時避難施設として地下鉄駅への避難も案内している。新潟市中央区にある地下通路「万代クロッシング」や地下商店街「西堀ローサ」への避難は、推奨されるのだろうか。新潟市危機対策課の担当者は「すぐに逃げ込める場所にいる人が避難するのはいいが、遠くにいる人は到着まで外を移動することになる。むやみに移動せずに近くの頑丈な建物に入ってもらいたい」と話した。

 今回のJアラートは早朝だったことから「近くに頑丈な公共施設があっても、開放時間外なら入れない。アラートと連動して解錠するシステムが公共施設に備わっていればいい」(上越市、40代男性)という提案も出た。

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 ミサイル発射について「行動のしようがない。撃ち落としてほしい」(新潟市中央区、70代男性)と対抗措置を求める意見もあった。一方で、「Jアラートの改修や攻撃能力より、北朝鮮にミサイルを撃ち込もうなどと思わせないようにさせる外交努力を政府は優先させるべきだ」(見附市、40代男性)、「やられたらやり返すでは愚かな戦争の始まり。平和な世界の構築に本気で取り組むべきだ」(新潟市西区、70代男性)、「迎撃システムよりも、防衛費で各家庭に防空壕(ごう)を設置する方が国民を守るには現実的」(五泉市、60代男性)といった意見もあった。

 また、「海に落ちた後、どうなっているのか。残った燃料などが海を汚染して魚などに影響が出ることはないのか」(新発田市、50代女性)という懸念も寄せられた。

▽このほかの主な意見

●国民の安全を守るシステムは、最も正確性が求められる。迅速に改善に着手すべきだ。
●スマートフォンが手元になく気付かなかった。全員がスマホを持っているわけではない。
●5歳の子どもが、サイレンとテレビ画面に驚き、泣き出した。ミサイルは日本列島を越えていないのに、子どもに不必要な恐怖を与えたことに腹が立った。
●地下に逃げろというならシェルターを造ってほしい。政府は市民が逃げるところを造っていない。
●ミサイルが通り過ぎてから「注意してください」では混乱する。
●ミサイルを正確に把握できないようでは国民保護はできない。原発も守れない。
●ミサイルのスピードを考えると、「撃たれたら撃ち落とす」以外に方法はない。
●政府は防衛費を増額させるために、よく調査もせずにJアラートのアラームを鳴らしたのではないのか。
●防衛費増大のため増税が検討されていると報道されているが、とんでもない話だ。
●迎撃ミサイルを多額のお金で購入するより、物価安定に力を注いでほしい。