教団の地方政治への浸透ぶりが浮き彫りになった。しかし全容はまだ不明だ。関係を遮断する上でも、地方議員や首長が自ら説明責任を果たすことが不可欠だ。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を尋ねる共同通信社のアンケートで、都道府県議2570人のうち、本県の12人を含む少なくとも334人が教団や関連団体と接点があったと答え、うち自民党が8割を超えていた。
知事は花角英世知事ら13人、政令指定都市市長は中原八一新潟市長ら9人が接点ありと答えた。
接点があった都道府県議では、33人が選挙支援を受けていたと答え、その31人が自民だった。教団関連団体などの役職に就いていたと答えたのは自民の33人と無所属の2人で、自民の1人は現在も就いていると答えた。
国政と同様に、地方でも教団と自民の関係の深さが際立つ。
自民は所属国会議員の半数近くに接点があったと発表した一方で、地方議員は調査せず、都道府県連に「関係遮断」を求める通知を出しただけだ。
党として踏み込んだ対応を取ろうとしないのは、来春の統一地方選に影響するのを避けたい思いがあるためだろう。
アンケートには都道府県議約160人が回答せず、その大半を自民系議員が占めた。
「答える義務はない」などとしているが、回答しなくては、明らかにしたくない接点があるのだろうと勘繰られても仕方がない。
不誠実な態度では有権者に見透かされるばかりか、議員の行動が有権者のさらなる政治不信につながる懸念もある。
見過ごせないのは、条例や意見書を巡り、教団側から働きかけを受けたと回答した議員が10県で16人に上ったことだ。
「家庭教育支援条例」制定や、自民党が成立を目指した「家庭教育支援法」制定を促す意見書の可決について働きかけがあった。
意見書の提案者になった長崎県の議員は、今回問題になるまで教団との関連を認識することもなかったという。意見書は与党の賛成多数で淡々と可決された。
教団側が存在を感じさせないまま、地方政治に影響力を及ぼしていることをうかがわせる。地方で実績を積み上げ、国を動かす目的があったとも考えられる。
教団側と、選挙の票を見据えた議員側とのつながりが、議会の意思決定まで左右しているとしたら問題は根深い。
アンケートは都道府県議らが対象だったが、市区町村の議員や首長と教団の間にも、密接なつながりがある可能性は否定できない。
関係を明らかにせず、問題の鎮静化を待つような姿勢は許されない。来春の統一地方選では私たち有権者も政党や政治家をしっかりと見極める必要がある。
