スキーやスノーボードなど冬のレジャー、観光シーズンが本格化した。新型コロナウイルスの感染拡大防止を図りながら、インバウンド(訪日観光客)を取り込んで地域経済に活力を取り戻したい。

 新型ウイルスの水際対策が昨年10月に大幅緩和され、今冬は3季ぶりに多くの外国人が県内のスキー場を訪れることが予想される。

 地域経済の活性化にとって、訪日観光客はいまや欠かせない存在だ。海外の富裕層は一般的に観光地での滞在期間が長く、経済効果は大きいとされる。

 昨年10月に観光目的で新規入国した外国人は約28万9千人で、前月の約1万9千人に比べ15倍と大幅に増加した。11月も約73万2千人に急増している。

 県はこうした流れを後押しする方針を示し、インバウンド拡大を図るため旅行会社と連携して商品開発に取り組んでいる。

 花角英世知事は県議会12月定例会で「今冬は県内スノーリゾート地で訪日観光客が数多く見られることを期待している」と述べた。

 県内のインバウンド拡大に大きく貢献すると期待されているのが、台湾の格安航空会社「タイガーエア台湾」が17日に運航を始める新潟-台北線だ。

 新潟空港の国際線は新型ウイルス感染拡大の影響で2020年3月以降運休しており、再開は2年10カ月ぶりとなる。

 気候が温暖な台湾の人たちはスノーリゾートへの関心が高いとされ、感染拡大前は北海道が人気の観光地だった。台湾の旅行会社は新潟-台北線の就航に合わせ、県内の観光地を周遊する旅行商品を企画しているという。

 スノーリゾートを抱える県内の自治体も、訪日客の増加に向けて知恵を絞っている。

 妙高山麓などに多くのスキー場があり、感染拡大前はオーストラリアからのスキー客らでにぎわっていた妙高市もその一つだ。

 妙高市は誘客強化に向け、3日間使える共通電子リフト券を発行するほか広告宣伝にも力を入れている。こうした取り組みの効果もあり、感染拡大前の19年度比で予約が8割まで戻っている。

 県内スキー場の入り込みも回復傾向にある。県によると、21年度(21年12月~22年3月)は20年度に比べ79万人多い326万人で、3年ぶりに増加に転じた。

 一方で、ウイルス感染はまだ第8波の収束が見えず、依然として厳しい状況が続いている。中国での感染拡大も心配だ。

 宿泊業界は感染禍による利用客減で従業員を減らしたこともあり人手不足に陥っているという。

 ウイルス感染が広がって勤務できる従業員が少なくなると、営業に支障を来す恐れがある。

 訪日客による地域活性化には、感染拡大防止が前提となることを改めて確認したい。