収束が見通せないウイルス禍、深刻な人口減少、岐路にある地方交通、世界的なエネルギー危機-。2023年は懸案が解決に向かう転換点となるか。
花角英世県政が諸課題にどう臨むかによって、これからの県民生活は変わっていく。県政に確かなかじ取りが求められる。
今年は東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題が、県政の最重要課題になるだろう。
政府は昨年12月に原発政策を大転換する方針を決め、柏崎刈羽原発6、7号機などの夏以降の再稼働を目指す。その中で注目されるのが、花角知事の判断だ。
花角氏は初当選した18年の知事選で、原発の安全性を巡る県独自の「三つの検証」を受けて再稼働の是非の考えを示し、結論について「職を賭して信を問う覚悟がある」と述べた。
昨年5月には、信を問う方法を巡り、県議会の判断や県民投票などを例示しつつ、知事選も選択肢ににじませた。
再稼働問題は現在に限らず、将来世代の県民にも影響する。花角氏がどう動くか目を凝らしたい。
新型コロナウイルスは、感染拡大と医療提供体制の逼迫(ひっぱく)を招かぬよう十分注意を払いつつ、疲弊した地域経済を活性化するための取り組みを急ぎたい。
経済再生に重要な交流人口の回復には、新潟空港の国際線再開が欠かせない。先を見据え、本県の拠点性や都市の魅力向上につながる対策を進める必要がある。
人口減少対策に、さらに力を入れなくてはならない。
昨年1月1日時点の住民基本台帳に基づく調査で、本県人口は25年連続で減少し、転出が転入を上回る「社会減」が全国最多になった。進学や就職などで首都圏へ転出する若者が依然として多い。
働く場や子育て環境を整え、若者が暮らしたくなる県へ生まれ変わるには、従来の取り組みだけでなく、新たな発想が不可欠だ。
人口減の中で経営が厳しい地方鉄道の在り方、世界遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」も、今年の大きな焦点になる。将来像をしっかり描いて前進させたい。
危機的状況にあった県財政は、行財政改革行動計画に基づく再建が一定程度進んだとはいえ、楽観視はできない。健全化を着実に進める必要がある。
人口減をはじめとする課題は県だけでなく市町村にも共通する。それぞれの議員はチェック機能を働かせ、予算案や条例案の審議に力を注がねばならない。
4月には統一地方選挙が控えている。本県では県議選と加茂市長選、新潟市議選など11市町村議選が予定されている。
私たち有権者は行政や議会に任せきりにせず、動向をきちんと把握し、一票を投じることで地方自治に参加する責任を果たしたい。