発想力と創造力でアピールする-。1970年代後半、田中角栄元首相の言葉で経営のヒントを得た精電舎(せいでんしゃ)佐渡工場社長の柴原行雄(ゆきお)氏(77)=現セイデンテクノ会長=は新たな目標を立てる。官公庁や法人団体から「認定工場」の資格を取得することだった。
工場では当時、主に巻線(まきせん)抵抗器を製造していた。第1次石油危機の影響で業績は振るわず、苦境が続いていた。「中小企業でも認定工場になれば、自社の企業価値を高めることができる」。柴原氏は猛勉強を重ねた。不燃性塗料を使った巻線抵抗器の開発に取りかかっていたころだった。
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巻線抵抗器は、抵抗体をセラミック製のケースに入れてセ...
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