冬山でのスキー遭難が相次いでいる。特に外国人が巻き込まれるケースが目立つ。天候に注意し、無理な入山は控えてほしい。
地元の関係者は安全対策を改めて確認し、注意喚起を徹底してもらいたい。
長野県小谷村の栂池(つがいけ)高原スキー場のコース外で1月29日、雪崩が発生し、スキーなどをしていた米国人ら外国人男性4人が巻き込まれ、うち2人が死亡した。
同県野沢温泉村では、コース外でスノーボードをしていて雪崩に遭い、行方不明となっていた魚沼市の男性が遺体で発見された。
県内では妙高市の妙高連峰にある前山で30日、フィンランド人4人がスキーやスノーボードをしていて遭難した。翌日に自力下山し、保護された。
事故発生前から降雪が多く、長野では雪崩注意報が発令されていた。新雪の層が滑り落ちる「表層雪崩」の危険があった。妙高でも大雪・着雪注意報が出ていた。
バックカントリーはスキー場の管理区域外ではあるが、滑走は禁じられていないエリアで、新雪を楽しめる半面、雪崩や滑落などに遭う危険を伴う。
栂池の事故で亡くなった1人はフリースタイルスキーの元世界王者だった。並外れたスキー技術を持つ人でも事故に遭う。
妙高の場合は、吹雪で視界が悪く、場所を見失った。一帯は急な斜面や川があり、ガイドでも入らないエリアだったという。登山計画書を出さず、食料も少量の水と菓子だけだった。
各地のスキー場は、ウイルス禍による訪日観光客の入国規制が大幅緩和されたのを受け、外国人客が再び増えている。
それに伴い県内でもバックカントリーの遭難が相次ぎ、今年は31日までで既に4件8人に上る。
バックカントリーを楽しむ際には、登山計画書を提出し、ガイドなど経験ある人と行動することを心掛けてほしい。
スキーヤーの位置を把握できる電波受発信器「ビーコン」や食料、スコップ、携帯電話用の予備バッテリーなども欠かせない。
各スキー場は、過去の事故を踏まえて安全対策を強化してきた。
妙高市の赤倉観光リゾートスキー場では、前山の入山ルートのスキー場山頂にビーコンの動作を確認する装置を取り付け、英語の案内表示で注意を促している。
外国人に人気の北海道ニセコ地区のスキー場では、ビーコンやヘルメットの装着を義務付け、雪崩発生の危険性に応じて立ち入りを規制する対策も図っている。
山スキーは自己責任で楽しむものだが、事故があれば救助に当たる地元警察や消防、スキー場関係者に大きな負担がかかる。
さらに効果的な事故防止策はないか、関係者は改めて見直してもらいたい。