想像してごらん。ジョン・レノンはこう問いかけた。名曲「イマジン」は、人々が互いに尊重し合い、争いのない世界を思い描いてみてと呼び掛ける
▼レノンに倣ってみる。同性婚が導入されたなら。性的少数者の存在が社会の中でいっそう認知される。相続など社会的な権利も認められる。少子化に拍車がかかるとの意見がある。一方、もともと異性との結婚に消極的な性的少数者もいるから影響はないとの見方もある
▼「夫と妻」「父と母」といった概念にも変化が生じるかもしれない。ほかにもまだまだ想像できそうだが、少数者の権利が大切にされるという点は間違いなさそうだ。時の政権が「多様性を認め合う包摂的な社会を目指す」と言うのなら、可能性を探る議論があっていい
▼政権の舞台回し役も担う首相秘書官が性的少数者を差別する発言をして更迭された。世論調査で同性婚への賛意が増えていることについては「何も影響が分かっていないからでは」と述べた。どんな悪影響が出るのだろう
▼首相も国会答弁で「社会が変わってしまう」と話し、導入に消極的な姿勢を見せた。しかし、ただ議論にふたをするのではなく、是非の検討を深めるのが政治の役割ではないのか
▼くだんの秘書官は、同性婚が導入されれば「国を捨てる人、この国にいたくないという人が結構いる」とも言ったらしい。さて、どうだろう。少数者の権利が認められない状況に嫌気が差して、外国に移住しようという人は結構いそうな気がするが。