
新潟県糸魚川市能生に、明治時代から4代続く医院がある。冬場は荒波が押し寄せる日本海に面した室川医院には、たくさんのネガフィルムが保存されている。
海沿いの風景、町の暮らしや行事、祭り、災害…。3代目の故室川右京さん=1993年に75歳で死去=が休日や診察の合間に撮りためた。主に昭和20~50年代に撮影されたモノクロ写真だ。
全国の歴史的建造物などの撮影にも出向いており、右京さんの長男で4代目の諭さん(77)は「ネガの総数は見当がつかない」と話す。
能生に関わるネガフィルムだけでも約660本あった。父の死後、諭さんはその中から選んだ6500枚を焼き、さらに900枚に絞って99年、写真集「おもい...
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