カナダやフィンランドではない。ここ新潟の夜空に2024年から25年にかけて、オーロラが3回も現れた。さらに今後もしばらくは国内で観測が期待できるという。その時、何が起きていたのか。専門家の研究や歴史資料をひもとくと、古くから越後や日本の人々を驚かせてきた天空のショーの姿が見えてきた。

(報道部・高橋哲朗)

<オーロラ>太陽から「太陽風」として流れてきた電子が大気に衝突し、大気が光る現象。大気の成分と電子のエネルギーの大きさで色が変わり、酸素原子は赤や緑、窒素分子イオンは青などの光を出す。電子は地球の磁力線に沿って降り注ぐため、オーロラは北極圏など高緯度地域で見られることが多い。太陽表面の巨大な爆発「太陽フレア」で磁場が乱れる磁気嵐が起きると、電子が低緯度地域にも達し、日本でも北の空にオーロラが広がることがある。

2024年5月、国内各地の空に現れた「青い光の柱」

低緯度のオーロラは赤が多いのに…撮影者らが気付いた「異変」

 海の向こうの赤い空。その上に青紫色っぽい光の柱が数本そびえる。2024年5月11日夜、村上市碁石で市内の天体写真家・イラストレーター沼澤茂美さん(67)が撮影したオーロラだ。肉眼では見えなかったが、「いつか撮りたい」と夢見た日本でのオーロラを捉えた。

 県内でオーロラが観測されたのは35年ぶり...

残り3564文字(全文:3864文字)