変えようとしなければ、何も変わらない。意思決定の場に登用する女性を意識して増やし、すべての人が平等に生きられる社会を速やかに実現させねばならない。
8日の国際女性デーに合わせ、男女平等の実現に取り組む研究者らでつくる任意団体「地域からジェンダー平等研究会」は、2023年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」を公表した。
政府統計などから30の指標を選び、男性1人に対して女性が何人いるかを計算、4分野で男女格差の特色や課題を可視化した。「1」に近いほど男女平等を示す。
政治は東京など首都圏が数値を伸ばして地域差が拡大、二極化の傾向となった。行政は管理職や審議会などの女性登用が進み、全都道府県で指数が改善した。
経済は男性賃金が下がったため平等度が上がった地域もあった。教育は四年制大学進学率で男女の開きがあった。女子で50%を超えたのは大都市圏が大半だった。
都道府県別では、本県は政治が6位だったが、指数は0・2台に過ぎず、平等には程遠い。春の統一地方選は女性議員の割合を増やす機会だろう。
経済は19位だった。ただ、社長と役員・管理職の女性比率がそれぞれ全国最下位だった。
信用調査会社によると、県内の女性社長の多くは同族承継だ。経営側が内部登用したくとも、女性自らが仕事と家庭の両立は厳しいと訴え、阻害要因になっている。
教育は42位となった。公立学校の21年度女性管理職比率は県が14・1%、新潟市15・7%で、全国の22・3%を大きく下回った。
女性の校長や教頭の存在は、性別に関わりなくリーダーになれることを子どもに示す。ジェンダー平等の意識を育てるためにも女性比率の向上は欠かせない。
都道府県別で上位でも、日本全体の水準は世界の最低レベルだと認識するべきだ。先進地域の取り組みを学んで底上げを図りたい。
世界経済フォーラムの22年版男女格差報告では、日本の平等度は146カ国中116位で先進7カ国(G7)の最下位だった。
社会や制度を変えていくには、決定権を持つ女性を増やす必要がある。それには一定数を女性に割り当てるクオータ制が有効だ。
女性の働き方にはパートや派遣など非正規が多い。指導的役割を担う女性を増やすには、正社員化を進めるなど労働環境を変えていくことが不可欠となる。
国連のグテレス事務総長は国際女性デーに合わせた寄稿で「ジェンダー平等は自然に実現するわけではない。それを優先し、追求しなくてはならない」と訴えた。
世界では戦争や犯罪、差別で女性の命が脅かされている。女性の権利を守り、地位を向上させるため、私たち自身の積極的な意識変革が問われている。
