南魚沼市役所本庁舎前に立つ市歌「時代新たに」の歌碑。遠藤実さんの直筆楽譜が金属板に刻まれている。近くの坂戸山をイメージしたデザインで、合併5周年を記念し、2011年に立てられた=南魚沼市六日町(長岡支社・佐藤将志撮影)
南魚沼市のホームページで市歌が聞けます。
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 遠藤実作曲、いではく作詞-と聞けば、記者のような昭和世代は「おおっ」と思うのではなかろうか。千昌夫さん「北国の春」、杉良太郎さん「すきま風」といった数々の大ヒット曲を手がけた2人だからだ。

 このヒットメーカーコンビが関わった曲に、新潟県の南魚沼市歌「時代新たに」がある。平成の大合併で誕生した新市に一体感を醸成しようと作られ、新潟県とゆかりの深い遠藤さんが作曲した。詩は公募で選ばれ、いでさんが補作詞している。

 南魚沼市役所本庁舎正面玄関前に歌碑が立ち、庁内では平日午前8時20分にこの歌が流れる。八海山、魚野、コシヒカリといった南魚沼を象徴する言葉が織り込まれた詩に、弾むような明るいメロディー。新しい市が前へ前へと未来に向かって進む様が感じられる。元気と希望にあふれた曲だ。

 市歌をレコーディングした経験がある声楽家の鈴木規子さん(59)=南魚沼市=は「遠藤実さんの曲だけに、いい意味で昭和チックな、校歌のような、子どもから大人まで歌うにはいい感じの曲」と語る。

 2008年10月1日、南魚沼市で開かれた市歌の発表式典のわずか2カ月後、遠藤さんはこの世を去った。知る人ぞ知るだが、この曲は遠藤さんの「生前に発表された最後の曲」...

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