新型コロナウイルスを巡っては、新変異株「オミクロン株」の急拡大に伴って新しい対応を求められることになり、県民に懸念や不安が広がっている。

 そうした状況が混乱を招き、感染者らが不安を増幅させる事態に陥らないように、関係機関はしっかり寄り添い、丁寧に目配りしてもらいたい。

 本県では21日にまん延防止等重点措置が適用されてからも、感染確認が右肩上がりで増えている。21日に470人だった新規感染者は、26日に628人と過去最多を更新し、27日も600人を超えた。

 感染急拡大に伴い県は、これまで保健所が担ってきた濃厚接触者に関する業務を見直し、同居家族以外の濃厚接触者への連絡は感染者本人に任された。新潟市も同様の対応だ。

 オミクロン株は感染者からうつるスピードが格段に速い。保健所が濃厚接触者を把握した時点では既に発症しているケースが多いため、従来のような調査をしても感染の連鎖を止めることは困難と判断された。

 従来の対応では保健所機能が逼迫(ひっぱく)するということだ。変更はやむを得ないとしても、住民の中に心理的な負担を訴える声があることを忘れないでほしい。住民からの相談には丁寧に対処してもらいたい。

 感染に対する周囲の視線や偏見が気になるとの意見は根強い。濃厚接触者となる人に直接伝えることをためらう感染者もいるだろう。

 いかなる理由があろうとも、感染者への非難や中傷はあってはならない。誰でも新型ウイルスに感染しうる状況にあることも改めて周知が必要だ。

 全体の感染状況を見ると、10歳未満の幼い子や10代の感染が多く、感染者全体の3割から4割を占める日が続いている。

 保育園や幼稚園などでは休園が相次いでいる。このまま休園が増えれば仕事を休まざるを得ない保護者が増加しかねず、医療や福祉、教育、小売りなどさまざまな分野で働く子育て世代への影響が避けられない。

 家族が感染して登園、登校できない子が増加している一方で、感染への不安から自主的に登校を控える「不安欠席」の児童、生徒も急増している。

 オミクロン株は感染しても無症状であることが多い。不安欠席が急増した背景には、感染に気付かずに登校する児童、生徒がいることへの保護者の不安などがあるとみられる。

 ただそうした中でも子どもたちの学ぶ機会を確保することが大切だ。保護者と学校はそのための環境を保つよう心掛けてもらいたい。児童や生徒に変化はないか、きめ細かく観察して対応したい。

 流行「第6波」は収束が見通せない。県は今後を見据え、検査キットの確保や、自宅療養者の症状悪化を迅速に把握し確実な入院につなげる態勢の整備などにも力を入れてほしい。

 対策では不織布マスクの着用と換気が今まで以上に大事だという。私たちも徹底したい。