山積する課題にどう向き合うのか、候補者は自らの考えを明確に示し、解決につながる論戦を展開してもらいたい。
統一地方選の前半戦となる県議選と新潟市議選が31日、告示された。県議選は定数53に71人が、新潟市議選は定数50に72人が届け出た。4月9日に投開票される。
県議選では、歯止めのかからない人口減少や、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題、医師不足の中での地域医療の行方などが大きなテーマとなる。
深刻なのは人口問題だ。2022年の人口移動調査によると、県人口は25年連続で減少し、昨年10月1日時点の推計は215万2664人と、1997年のピーク時より34万人も少なくなった。
県外への転出が転入を上回る転出超過(社会減)は、若干回復したとはいえ、26年続いている。
民間の研究所は、団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年に、全国で1100万人を超える労働者の不足が生じると予測し、本県は必要な労働者数に対する不足率が全国ワースト2の34・4%になると分析された。
選挙戦で各候補者は、出生率向上につながる支援策とともに、人材を県内に定着させる対策についても示してほしい。
岸田政権は、エネルギー資源の調達環境の悪化などを背景に政策を転換し、原発を活用する方向にかじを切った。今回の選挙で選ばれる県議は、任期中に柏崎刈羽原発の再稼働問題への対応を迫られる可能性がある。
新潟日報社が告示前に行ったアンケートでは、県議選に立候補を予定する71人のうち、7割超の53人が再稼働を「認めない」と答え、3人が「認める」、15人が「判断できない」と回答した。
なぜそう考えるのか、選挙戦で説明してもらいたい。選挙後に、この問題についてどう行動するのか、注目されているからだ。
地域医療を巡っては、医師を確保できず、診療科で患者の受け入れを休止せざるを得ない事態に追い込まれる病院が出ている。
県土が広い本県で、県民の安心につながる医療体制をいかにして築くかは喫緊の課題だ。
選挙戦は地域の実情を把握し、知恵を絞る機会にもなるだろう。
一方、県議選では13選挙区が無投票となり、無投票当選者は戦後最大の4割に上った。多くの有権者が投票による意思表示の機会を逸したことは残念でならない。
投票率は前回49・77%と、2回続けて50%を切った。中でも若い世代が一段と低かった。
地方選挙は、最も身近な民主主義を実現する機会であり、投票は自治の根幹をなすものだ。
未来をより良くするために、私たち有権者は、候補者の訴えをじっくりと聞き比べ、投票を通じて政治に参加したい。