景況感の格差がより鮮明となった。欧米発の金融不安の影響も懸念される中、業種間の格差が一段と広がる可能性がある。さらに警戒していく必要がある。
日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標である大企業製造業の業況判断指数(DI)が、昨年12月の前回調査から6ポイント悪化のプラス1と、5四半期連続悪化した。
大企業非製造業は1ポイント改善のプラス20となり、大企業製造業との差は19ポイントに広がった。
大企業製造業が悪化したのは、米欧の急速な利上げを背景にした海外経済の減速や、エネルギーや原材料価格の高止まりを主因とする物価高による仕入れコストの高止まりが負荷となったためだ。
一方の大企業非製造業では、新型コロナウイルス対策の緩和を追い風に改善が目立つ。飲食や宿泊は地方でもにぎわってきている。
ただ、回復の足を引っ張っているのが深刻な人手不足だ。
3月短観で、雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」とした割合を差し引いた指数は、前回調査から低下し、非製造業(全規模)でマイナス40となった。人手不足を補うため、外国人材を増やすなどした企業もある。
県内企業の景気実感が低いことも気がかりだ。
日銀新潟支店が発表した県内企業の短観では、全産業の業況判断DIが、昨年12月の前回調査から1ポイント下落のマイナス2と、2四半期ぶりに悪化に転じた。プラス5だった全国より7ポイント下回った。
3カ月後の先行き(全産業)でも、県内と全国で格差がある。県内は5ポイント下落のマイナス7だが、全国はプラス2だ。
格差がさらに広がる懸念がある。ウイルス禍に苦しむ中小企業向けの支援策で3年間実質無利子、無担保の「ゼロゼロ融資」のうち、民間金融機関を通じた県制度融資の返済が、7月をピークに本格化するからだ。
県内では約2万8千件、計約4440億円の融資が行われた。多めに借りた企業は利払いも多く、負担は厳しくなるため、返済に不安を抱く経営者もいる。
全国では、コストの価格転嫁が進み経営が改善した企業は多い。
全ての企業で価格転嫁がきちんと進むことが望ましいが、中小企業が多数を占める県内では、その実現は容易ではない。「取引企業から理解が得られがたい」といった声が聞かれる。
帝国データバンクは、企業のコスト負担には限界があるとして、政府が取引の適正化を推進することに加え「付加価値向上など、価格以外で差別化を図る企業の取り組みも重要」と指摘する。
企業の業績が上向き、物価上昇に賃金の伸びが早く追いつくように、政府は、景気を下支えする施策を確実に実行してもらいたい。
