まだまだ猛威を振るっている。この春の花粉症である。毎日そこかしこから、大きな「ハックション」が聞こえる。目のかゆみや鼻づまりに苦しむ人、高熱が出たという人までいる
▼つらい思いをしている人は実に多い。花粉症の有病率は10年ごとに10ポイントずつ増え、2019年に4割を超えたという調査結果がある。3人に1人がスギ花粉症とみられるというから、無視できない
▼山林は戦中・戦後、過度な伐採で、人工林への転換が進んだ。全体の4割が人工林になり、その4割がスギだ。植えて約30年で花粉ができるといい、成長に伴って花粉の生産量が増えたと推測される
▼花粉の少ない苗木も開発されているが、植え替えには時間がかかり、林業の振興も必要だ。花粉症には多くの省庁が関わる。横断的な取り組みがなくてはならない。「社会問題と言っていい」と評した岸田文雄首相はきのう、関係閣僚会議で6月までに対策をまとめるよう指示した
▼国会には、花粉症に悩む自民党議員が1995年に立ち上げた通称「ハクション議連」という議員連盟があった。2009年に解散したが、当時のメンバーは「毎年『来年か再来年には画期的な薬ができる』と言われて、その繰り返し。とっくに薬ができているはずなのに」とぼやく
▼その頃から本腰を入れていたなら「ハクション」は今ほど聞こえなかったかもしれない。議連は今月中に超党派で復活するという。今度は成果を出したい。たとえ解散風が吹いても、飛ばされずに。