右肩下がりで人口が減る状況が当面、続くことになる。社会が縮小することを前提に、暮らしを維持していくための体制を急いで整えなくてはならない。
総務省が公表した2022年10月1日時点の人口推計で、外国人を含む総人口は1億2494万7千人と、12年連続で減少した。
日本人は、75万人減の1億2203万1千人となり、比較可能な1950年以降で、最大の落ち込みとなった。
総人口に占める14歳以下の割合は過去最低の11・6%となり、人口の先細りは避けられない。
人口が減れば、税収は伸びず、インフラや地域交通の維持などが一層困難になる。人手不足が顕著になり、空き家も急増する。
デジタル技術などを駆使し、縮小社会にも対応できる新たな環境整備が求められる。
全国では、自動運転バスによる公道での定期運行や、24時間営業のコンテナ型無人店舗の開設といった取り組みが進んでいる。
先進事例を研究し、地域に適した対策づくりにつなげたい。
近年、総人口の減少を緩和してきたのが外国人の存在だ。
新型コロナウイルスを原因とする入国規制が弱まったことで外国人は前年より19万4千人増え、291万6千人となった。
しかし、国際的な人材獲得競争が激しさを増す中で、給与が上がらず、円安も進んだ日本の魅力は相対的に低下している。
建設や農業、介護といった人手不足が続く現場を、既に多くの外国人が支えている。
人材獲得が難しくなる中で、政府は人権侵害などで批判が強い技能実習制度の問題点を改善し、外国人労働者の中長期的な定着を図る考えだ。
定着を促すには、まず政府が、外国人は地域社会を共に支える仲間であると、明確なメッセージを発信することも不可欠だ。
都道府県別の人口は、東京を除く全てで減少した。
中でも本県は減少速度が速い。県人口は215万3千人で、減少率は1・12%と、過去最大になった。死亡数が出生数を上回る「自然減」がさらに進んだ。
少子化と人口流出の二つの難題を抱え、県は移住促進策や子育て支援に力を注いでいる。まだ効果が出たと言える状況ではないが、出生数を増やす特効薬はなく、幅広い対策を続ける必要がある。
シンクタンクの将来予測によれば、県人口は50年に141万人まで減少すると見込まれ、人口流出を食い止めた場合でも185万人と試算されている。
いずれにしても状況は深刻だ。行政サービスについても、人口が減っても対応できるように、再構築していくことが欠かせない。
新たな地域づくりに向けて、住民とともに議論を深めたい。
