全ての子どもの基本的な人権が守られ、意見が尊重されなければならない。

 「こどもの日」のきょう、「こども基本法」が掲げる基本理念をしっかり胸に刻みたい。

 基本法は、子どもの利益を優先する「こどもまんなか」社会の実現を目指す「こども家庭庁」の背骨となる法律だ。

 子ども施策への決意を示したもので、社会全体で子どもを支える機運を高める狙いがある。

 日本は1994年に、子どもの人権を国際的に保障する「子どもの権利条約」に批准した。

 基本法が定めている権利は既に条約に書かれていたが、それらを認める法律が存在せず、条約の趣旨に照らした取り組みが不十分だと指摘されていた。

 多くの子どもたちは、貧困や虐待被害、いじめ、不登校など深刻な課題に直面している。

 まずは現在厳しい状況に置かれている子どもに向き合い、寄り添う支援が不可欠だ。

 私たち大人は、子どもは未熟だから大人に従って当然と考えるのではなく、一人一人の子どもの人格を認める意識をしっかりと持たねばならない。

 児童や生徒に不合理なルールを押し付ける「ブラック校則」などは見直す必要がある。

 基本法では、「こども」を「心身の発達の過程にある者」と定義している。

 義務教育終了や18歳といった節目で、必要な支援を途切れさせないようにするためだ。それには、自治体の体制整備が重要になる。国から自治体への後押しもさらに求められる。

 全国で子どもの数が減り続けている。県内では14歳以下の子どもは、23万1211人(4月1日時点)で、過去最低を更新した。

 岸田文雄首相は、子育て施策を社会全体で支える考えを示す。

 「異次元の少子化対策」として出産費用や教育費の負担軽減などを進めるほか、従来の価値観を変える狙いで「こどもファスト・トラック」の普及に力を入れる。

 子ども連れや妊娠中の人が施設や催しで列に並ばず、優先的に入場できるもので、こども家庭庁を中心に国の施設で実施し、民間などにも呼びかけていくという。

 政府は子育てに優しい社会づくりの一環に位置付ける。取り組みを通じ、子どもたちが社会や大人から大切にされていると実感する機会になるといい。

 全国では子どもの声が騒がしいと、保育園などへ苦情が寄せられるケースが後を絶たない。そうしたことで廃止された公園もある。

 子どもが伸び伸びと成長できる環境をつくることは、少子化に歯止めをかける上で欠かせない。

 子どもや子育て世代への取り組みをきっかけに、誰にでも優しい社会の実現につなげたい。