世界的な金融不安への対応をはじめ、サプライチェーン(供給網)強化や新興・途上国支援、ロシアへの経済制裁について先進7カ国(G7)が新潟で話し合う。

 協議の結果を国内外に向けて発信し、世界経済に好影響をもたらすことを期待する。

 本州日本海側で初の開催となるG7財務相・中央銀行総裁会議が11~13日、新潟市で開かれる。

 メンバーは各国財務相や中銀総裁のほか、欧州連合(EU)欧州委員会委員らで、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの国際機関も招待される。

 会議で注目されるのは、相次ぐ米銀行破綻で世界的に高まる金融不安に対して、G7が金融システムをどう強化していくかだ。

 鈴木俊一財務相は9日の記者会見で「米国では銀行の信用不安が収まっていない状況だ」と指摘、急速な預金流出で破綻した事例が連鎖しないよう国際的な連携を深める方針を明らかにした。

 米欧の主要中銀はインフレ抑制のため利上げを繰り返し、景気を冷やす要因となっている。金融機関が保有する債券価格が下がり、相次ぐ破綻の一因にもなった。

 信用不安が世界的に広がれば、日本国債より高い利回りが見込める外国債券への投資に傾斜してきた日本の地方銀行にも悪影響が出る恐れがあるだろう。

 経営危機の可能性を見抜けなかった金融監督、規制の在り方を巡る議論も欠かせない。

 暗号資産(仮想通貨)の規制推進では、国際的に先行する日本の主導で利用者保護に向けた法整備を促すことが求められる。

 一方、供給網強化の方針は4月の財務相会合で打ち出された。

 経済安全保障の観点で、資金援助を通して「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国を自陣営の供給網に組み込む。

 脱炭素社会に必要な太陽光パネルなどの製品で中国依存からの脱却を目指す。世界銀行に新たな制度を設ける方向で調整する。

 日本は今回の会議に、アフリカ連合(AU)の議長国コモロのほかブラジル、インドといった新興国を招待した。G7以外を招くのは異例で、安定した供給網の構築に連携が深まるといい。

 ただ、中国へのスタンスはG7内に温度差がある。結束が試されることにもなりそうだ。

 ロシアへの制裁では、米国主導でほぼ全ての品目を輸出禁止にする措置が検討対象となっている。

 インフラ復旧の資金を必要とするウクライナへの支援とともに、和平実現に実効性のある制裁を協調して科してもらいたい。

 G7首脳会議(広島サミット)前の閣僚会合の中で注目度が高い会議だ。自然豊かな新潟で胸襟を開き、活発に議論してほしい。私たちも世界的な経済問題を身近に感じ、理解促進につなげたい。