国際的な経済リスクの回避に向けて、一致した対応を取ることが確認された。各国の結束をさらに強くし、成果を世界経済の安定につなげたい。

 新潟市で開かれた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が13日、閉幕した。

 米欧に端を発した金融不安の拡大阻止に協調して対応し、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国を支援することなどを柱とする共同声明を採択した。

 会議を通じて鮮明になったのは、世界経済のリスクを抑え込もうとするG7の姿勢だ。

 米銀行の経営破綻を教訓に、金融システム強化に向けた議論が急務だとの声が相次いだ。

 議論を受けた声明には「金融システムは強靱(きょうじん)だと再確認した」としつつ、安定へ「適切な行動を取る用意がある」と明記した。

 交流サイト(SNS)で情報が瞬時に拡散する実態と、現行の銀行監督規制のずれに対処する。

 世界の経済成長は、米欧がインフレ対策で進める利上げが逆風となり、鈍化するとみられている。金融不安への対処を誤れば実体経済への打撃が避けられない。

 声明は、不安がむやみに広がらないように配慮し、成長の下振れを防ぐ狙いがあるだろう。

 世界的なインフレ抑制に中央銀行の役割が重要だとの認識を共有したことも、リスク回避へのメッセージといえよう。

 新興・途上国を巡っては、再生可能エネルギー関連製品の供給網を強化する新たな枠組みを年内に設置すると盛り込んだ。

 太陽光パネルといった中国に依存する製品の供給網多様化に方向性を示せたことは、経済安全保障の強化につながる。

 今回招待したインドやブラジルなど6カ国をはじめとする国々との連携をさらに強くしてほしい。債務問題を抱える途上国の支援にも力を尽くす必要がある。

 ウクライナへ侵攻するロシアへの制裁では、事前折衝で米国がほぼ全ての品目の輸出禁止を提案したのに対し、自国経済への悪影響を不安視した国が反対した。

 歩調がそろうか心配されたが、声明にはロシアへの「経済制裁を回避し、損なうようなあらゆる試みに対抗する」と記された。

 ウクライナへの支援は「必要な限り続けられる」とした。日本は周辺国に10億ドル(約1300億円)規模の支援を表明した。

 G7は今後も制裁の実効性を高めるために努力し、ウクライナ支援をリードしてもらいたい。

 12日夜には戦争犠牲者を追悼する長岡市ゆかりの花火「白菊」が打ち上げられた。国際平和を訴える新潟のメッセージとして、強い印象を残しただろう。

 新潟からの平和の祈りを、19日に開幕するG7首脳会議(広島サミット)につなげてほしい。