地震の発生は休日や夜間を問わない。災害への備えは常に点検を重ねておきたい。

 1964年の新潟地震から16日で59年となる。本県沖を震源としたマグニチュード(M)7・5の地震によって、県内では14人が亡くなった。

 新潟市では4階建ての県営アパートが横倒しになった。昭和大橋の橋げたが落下したほか、石油タンクでタンク内の油が揺れるスロッシング現象による火災も発生し、約2週間後に鎮火した。

 信濃川沿いなどでは、津波で浸水した地域もあった。市内は泥海と化し、水が長期間たまった。砂の地盤に地震の揺れが加わり、水や砂を吹き出す液状化現象の危険性が知られるようになった。

 本県はその後も大地震が繰り返される。2004年の中越地震は最大震度7を記録し68人が、07年の中越沖地震は最大震度6強を観測し、15人が犠牲になった。

 日本列島では今年、強い揺れを伴う地震が頻発している。5月には震度6強の揺れが石川県珠洲市を襲い、1人が死亡したほか、茨城県や千葉県でも震度5弱を観測する地震があった。今月11日の北海道の地震は震度5弱だった。

 緊急地震速報に加え、建物の高層階を大きく揺らす長周期地震動の予想も発表された。揺れに備えた行動を心がけたい。

 政府の地震調査研究推進本部が公表した地震の発生予測「長期評価」によると、県内で起きる可能性がある最大級の地震は、長岡平野西縁断層帯(新潟市沖-小千谷市、長さ南北約80キロ)が引き起こすM8・0程度のものだ。

 県の想定では、強風が吹く冬の深夜に発生した場合、死者数は最大で阪神大震災を上回る7920人、建物の全壊が約17万1千棟に上る。自宅や事業所の耐震化などの対策を進めたい。

 津波にも警戒が必要だ。防衛大学校と岡山大の研究チームは、日本海で高さ10メートル以上の津波を起こしたとみられる海底地滑りの痕跡が、本県沖などにあるとの解析結果を発表した。

 今後の研究成果を注視し、防災施策に反映することが必要だ。

 原発への影響も懸念される。東日本大震災では東京電力福島第1原発が津波により全電源喪失に陥り、放射性物質による被害を広範囲に及ぼした。

 中越沖地震では東電柏崎刈羽原発の変圧器火災が発生し、住民の不安を増幅した。

 原発構内の状況を知るには、東電をはじめ、関係機関の情報発信に頼らざるを得ない。原発事故時の住民避難は一刻を争う。

 特に事業者の東電は被災状況を素早く把握し、自治体や住民に正確に伝達する責務がある。

 原発の運転、安全確保に関わる関係者は、地域の安心確保を意識し、訓練を徹底してもらいたい。