世界最低レベルの現状で、日本は先進国と言えるのか。前回より順位が下がったことは、男女格差解消への努力を怠っていたと言われても仕方がない。

 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)は、各国の男女平等度を順位付けした「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」を発表し、日本は調査対象146カ国中125位だった。

 2019年の121位を下回り過去最低になった。先進7カ国(G7)では、79位で日本に次いで低いイタリアに引き離され、東アジア・太平洋地域でも最下位だ。

 報告は政治、経済、教育、健康の4分野で、男女参画の平等達成度を指数化した。

 特に政治で日本は138位と深刻だ。先進国の内閣は男女半々が当たり前になりつつあるのに、日本の女性閣僚は2人だけだ。衆院議員に占める割合は1割程度、女性首相はまだ誕生していない。

 旧態依然とした男性中心の政治が行われていては、政策に社会の多様な意見を反映できない。

 自民党所属の女性国会議員は12%にとどまり、日本の順位が低いのは「政権与党の責任が大きい」との批判が出るのも当然だ。

 自民党は所属国会議員の女性割合を30%にする目標を掲げたが、達成期間を「今後10年間」とし、即効性は疑問だ。前倒しできるようもっと力を入れるべきだ。

 今春の統一地方選では、41道府県議会のうち30議会で女性が増えた。市町村議会では22年末時点で女性がいなかった257議会のうち44で女性議員が当選した。

 明るい兆しが見られた一方で、非改選を含め女性不在の市町村議会は依然200を超えている。候補者や議席の一定数を女性に充てる「クオータ制」の導入についても、検討する時期だろう。

 経済分野も123位と、格差は大きい。女性役員比率が15・5%など女性管理職の少なさや所得面が要因だ。

 国内外の投資家には、女性役員の比率を重視する傾向が強い。

 このため政府は、東京証券取引所の「プライム」上場企業の役員に占める女性比率を、30年までに30%以上にする目標を設定した。

 大企業だけではなく、地方の中小企業も含め取り組みが遅れないよう進めていかねばならない。

 本県では5月末時点で、プライム上場企業14社のうち、女性役員ゼロは3社、1人が6社、2人が5社だった。執行役員を含む役員に占める女性比率は最も高い社でも約15%にとどまっている。

 女性の就業率が上がり、出産後も働き続ける時代に変わっている。ジェンダー平等に向けて女性の管理職への登用を加速させていく必要がある。

 これ以上、世界に取り残されないよう、女性が活躍できる環境を社会全体でつくらねばならない。