格言として、すっかり定着したと言っていいだろう。社会に変革を起こしたり、活性化したりするのは「よそ者」や「若者」そして「ばか者」であるとされる
▼「よそ者」とは従来の常識にとらわれず、柔軟な発想ができる人。「若者」は単純に若年というよりは、変化を恐れずに、しなやかな精神を有する人を指すのだろう。「ばか者」は誰かに笑われようとも、信じた道を突き進む人のことだろうか
▼そんな「ばか者」が約500人もお隣富山のスタジアムに集結した。おとといの水曜、サッカー天皇杯3回戦に臨んだアルビレックス新潟のサポーターだ。1週間前に雷雨で打ち切られた試合の残り時間、わずか15分を見届けるために遠征した。人によっては、この間のJ1リーグ戦のため、札幌にも足を運んだ
▼「言い方が悪いのは自覚しているが、いい意味でばかなんじゃないかって。もう、心からすごいなって」。激闘を制した太田修介選手は、感謝の言葉を惜しまなかった。サポーターにとって「ばか」は最高の褒め言葉だろう
▼2週続けて平日に富山まで出向くなんてと、あきれる人もいるかもしれない。ただ、サッカーに限らず何かにのめり込む「推し活」は、社会や経済を活気づける起爆剤になっている。周囲に迷惑を及ぼさない範囲なら歓迎すべき存在だろう
▼長岡市寺泊野積出身で医師の加藤俊徳さんは、本紙連載で推し活は脳の活性化にも役立つと書いていた。推し活にいそしむ「ばか者」が多い社会はきっと楽しい。