集まった近所の人らに、建築中の建物の上からたくさんの餅やお菓子などをまく「餅まき」=新潟市西蒲区(写真映像部・大橋奎介撮影)

 住宅が並ぶ近所を歩いていると不意に、心が高ぶることがある。それは建築中の家を見つけ、真新しい木材が組み上がり、家の形になっていくのを目にした時。この家はもうすぐ「餅まき」をやるかなあ、という淡い期待からだ。

 餅まきは、新しい建物の基礎が組み上がる上棟式のお祝いで行われる。近所の人たちが集まり、屋根の上からまかれる餅やお菓子を競って拾う。調べてみると、日本各地で古くから行われている風習らしい。

 子どもの頃、私はこれが大好きだった。親戚の家の近所や、通りがかった家などで参加した。出身の新潟県阿賀野市では「だんごまき」と呼び、地域の祭りでもイベントとして行われる。

 お菓子、餅、五円玉などを、他の人...

残り2848文字(全文:3148文字)