夏の甲子園代表校が決まり、北海道ではインターハイが真っ盛り。若き高校アスリートの表情は太陽と共にまぶしさを増す。そんな中、黙々と走り込んでいるのがクロスカントリースキーの選手だ
▼夏は下半身を強化し、基礎体力を付ける。県内クロカン部の多くは地元の里山で練習を積む。魚沼市の小出高は学校近くのスキー場周辺を走る。1日の走行距離は15~20キロ。雪上をイメージし、ストックを振りながら階段を上ることもある
▼興味深いのは練習方法だ。数十分の持久走では、各自の課題克服のため、終了時間だけを決め、それぞれ好きなルートへ駆けていく。雪上の練習でも同様に取り組むことが多いという。練習では誰かと競うわけでなく、自然の中で自分と向き合う
▼小出高は2017年に男子リレーで全国制覇し、昨年の北京五輪では卒業生の田中友理恵さんがバイアスロンに出場した。そんな名門も現部員は男子3人、女子1人。男子は2年連続、女子は何年もリレーを組めない状態が続く
▼かつて全国を圧倒した本県クロカン陣だが、小出高に限らず選手確保に苦労している学校もある。それでも向上心は受け継がれている。佐藤悠宇主将の高校最後の目標は個人種目での8位入賞。そして大学に進み競技に取り組むつもりだ。「競技人口も減ってるし、続けるのが大事だと思った」
▼本県のスポーツを象徴するような競技である。厳しい夏を乗り越え、冬に大輪を咲かせようとひたむきに走る彼らにエールを送りたい。