アイドルと言えば恋愛禁止とされる時代が長く続いた。一部のファンはタレントを疑似恋愛の対象とするからこそ、熱狂的に応援し、お金の支出もいとわない。アイドルの交際が発覚した途端、応援をやめたという話は今も耳にする

▼そんな風潮が残る中では異例の存在だろう。メンバー全員が結婚や出産を経た後も、一線に立ち続けるグループがある。県内を拠点に活動し、全国的な知名度もある3人組「Negicco(ねぎっこ)」だ

▼先月、結成20周年を迎えた。新潟市の県民会館で記念のライブも開催した。新潟での3人そろってのコンサートは4年ぶり。育児をしながら公演の準備をすることには不安もあったというが、客席は長年のファンに加え、女性や親子連れら幅広い層で埋まった

▼多くのファンは、ねぎっこの3人が少女から成長していくのを見守り、結婚や出産といった節目を、わがことのように喜んでいる。疑似恋愛の対象というより、人生を一緒に歩く道連れのような存在と捉えているのかもしれない

▼「長く支え、答えを急がない」。このようなスタンスが、新潟のローカルアイドルを育んでいる-。情報メディア論が専門の中村隆志・新潟大教授は、新大の研究者が本県に関する考察を寄せた本「大学的新潟ガイド」の中で、こんな見方を披露している

▼新潟が生んだアイドルが長年にわたって地元を元気にしてくれる。今の新潟を語る上では欠かせない存在になった。この3人組に、新たなアイドル像を見る。

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