連日の猛暑と少雨で県内の水不足が心配だ。農産物などに干ばつ被害が生じることがないよう、できる限りの対策を講じたい。

 9日の県内は広く高気圧に覆われ、28観測地点のうち8地点で39度以上を観測した。三条市で全国最高の39・8度を記録した。

 沖縄や九州に記録的な大雨をもたらしている台風6号に伴う「フェーン現象」の影響だ。

 本県が梅雨明けしたとみられる先月21日以降、県内にまとまった雨は降らず、8日までの総降水量は新潟市、上越市(高田)で0ミリ、長岡市で12・5ミリにすぎない。

 県と国土交通省北陸地方整備局は水不足の恐れがあるとして連絡会を開き、対策を協議した。県内が渇水に見舞われた2018年以来5年ぶりの開催だ。

 報告によると、中山間地では雨水に頼る天水田を中心に稲の葉が巻き上がったり、枯れたりする被害が出ている。枝豆のさやが黄色くなる品質低下やニンジンの発芽不良が見られ、死ぬ家畜もいる。

 コシヒカリの出穂期を迎えている産地では、稲の枯死や高温障害による品質低下が懸念される。ほ場のひび割れも防ぎたい。

 民間が予測した本県の23年産米作況は、今のところ平年並みと予測しているが、今後の気象状況では変わる可能性がある。

 県は台風6号のフェーン現象で11日まで異常な高温や乾燥が起きる恐れがあるとして、農業者向けに緊急情報を発表した。

 19年8月には、やはり台風が接近し、フェーン現象で40度を超える高温が発生、この年のコシの1等米比率は過去2番目に低い25%に落ち込んだ。不作の繰り返しは避けたいところだ。

 田に水を入れ、地温の上昇を抑えることが求められる。一方で渇水に留意し、用水の状況を見ながら、水が行き渡ったら流入を止めるといった対応も欠かせない。

 農業用ダムの貯水率は6日時点で平年の8割だが、節水のため供給量を絞る土地改良区がある。農業用水が不足し、消雪パイプ用井戸から取水する地域もある。

 自治体によっては水路掘削やミキサー車での水運搬、ポンプ設置などへの補助を始めた。他の自治体にも広がることを期待したい。

 妙高市は水源河川の水位が低下し、節水を呼びかけている。水道用など県が管理する17ダムの貯水率は4割以上あるが、県の担当課は「晴天が続き、県民生活に渇水による影響が起こり得る」と注意を喚起している。

 水道の給水制限を回避するためには、家庭でも日頃から意識して節水を習慣付けておきたい。

 本県対象の熱中症警戒アラートは9日連続となった。熱中症とみられる症状の搬送者が多く、亡くなる人もいる。冷房の効いた公共施設を利用するなど身を守ることを優先的に考えてほしい。