清和開拓団の供養碑近くで初めて咲いた「満州のニッコウキスゲ」=7月、北海道下川町

 北海道下川町の渓和(けいわ)集落に7月、淡い黄色の花が初めて咲き誇った。新潟県上越市の野田良雄さん(99)が「満州のニッコウキスゲ」と呼んだ花だ。

 野田さんは80年余り前、戦時中の満州(現中国東北部)から、この花の種をポケットに数粒忍ばせて持ち帰った。

 渓和集落は、新潟県出身の人々で結成された満蒙開拓団「清和開拓団」と深いつながりがある。戦時中に旧ソ連(現ロシア)国境に築かれた清和村は、偶然にも緯度が渓和とほぼ同じだ。

 北の大地に咲いたかれんなキスゲの花は、新潟から満州、北海道へと命をつないだ新潟県人たちの足跡と重なっている。

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 「ちょうど咲いている時でよかった」。北海道下川町渓和...

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