自宅の体重計の電池が切れてから半年以上が過ぎた。定期的に測っていた頃の方が食事や生活に気を配っていたように思う。暑さを言い訳にビールの消費量も増え気味だ。そろそろ現実に向き合うべきか

▼とはいえ気にしすぎてもいけない。厚労省は若い女性に多い「やせ願望」が、栄養不足を引き起こすと警鐘を鳴らしている。やせる必要がないのに過度なダイエットを続けると、摂食障害になる恐れもあるという

▼厚労省の調査によると40代の女性に比べて20代の女性では肥満度(BMI)が18・5未満の低体重の割合が多いという。背景としてメディアなどで広がった「やせている方がいい」という価値観を挙げている

▼近年、ボディーポジティブという考えがそれに一石を投じている。太っていてもやせていても、ありのままの体形を受け入れるという考え方だ。有名ブランドのファッションショーでも取り入れられている

▼細身で長身のモデルだけではなく、プラスサイズと呼ばれる、ふくよかな体形のモデルを起用するブランドが増えてきた。どんな体形でも着られる服を目指すことは、多様性を重視する現代社会でのブランド戦略としても必要なのだろう

▼プラスサイズのモデルが、華やかなショーを歩く姿は、体形に悩む多くの人に勇気を与えるはずだ。一つの価値観ばかりに縛られるのは息苦しい。店頭には秋物の洋服が並び始めた。新しい季節ももうすぐやって来る。体形を隠す服ではなく自分が着たい服を買ってみよう。

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