ウイルス禍で疲弊した社会を回復軌道に乗せ、将来の基盤もしっかりと築く。そうした狙いがうかがえる予算案だ。

 注目したいのは、新潟県が移住希望者らから選ばれる地域となり、県が人口減少に歯止めをかけることができるかだ。

 花角英世知事は16日、1期目最後となる2022年度当初予算案を発表した。記者会見では、5月の知事選へ再選を目指して立候補することも表明し、「新年度予算を私自身の手で実行したい」と強調した。

 予算案の一般会計は1兆3562億円で、国の予算編成に合わせて一体編成した21年度2月補正予算案を含めると1兆4623億円となる。同様に一体編成した21年度とほぼ同規模だ。

 22年度予算案で県が最優先で進めるとするのは新型コロナウイルスの感染拡大防止対策だ。

 オミクロン株が広がる現状を見れば、今後も緊張感を持って当たる必要がある。

 基盤となる医療や保健の体制強化、医療従事者の確保にも引き続き力を入れてもらいたい。

 ウイルス禍で困窮したひとり親家庭や子どもへの支援も拡充する。対策が行き届くよう十分に目配りしてほしい。

 感染防止対策とともに重点配分したのが「分散型」「脱炭素」「デジタル改革」といった分野の中長期的な取り組みだ。

 これらは「花角カラー」というよりも、国の施策の方向性に沿うものだろう。

 感染収束後の地域の将来像を見据えた施策ともいえる。

 ウイルス禍の影響でテレワークが進むなどして東京一極集中は鈍化し、東京の周辺各県では地方分散の動きが見え始めた。しかし本県は流れをうまくつかんだとはいえず、人口流出は止まっていない。

 記者会見で知事は人口減少対策について「つながりを持ちたい人を増やす努力がいる。ターゲットを絞って効果的な情報発信を考えたい」と述べた。

 女性活躍などを進めて地域や企業の魅力向上を図るなど、政策を総動員して本県を選んでもらえるようにするという。

 人口減少を巡る課題は多岐にわたり、一朝一夕に解決できるようなものではない。

 県全体の問題として認識を共有し、官民が協力し粘り強く魅力向上に取り組むことが必要だ。知事がしっかり指導力を発揮できるかどうかが成否の鍵を握る。私たち県民も目を凝らしていかなければならない。

 一方、財政運営について本県は危機的な状況が続いていたが、改革の成果が見えてきた。

 「行財政改革行動計画」で人件費の圧縮や事業見直しを進め、大規模災害に備える財源対策的基金の230億円を確保した上で、22~25年度の収支均衡を図れる見込みとなった。

 ただ借金返済額に当たる公債費の実負担は31年度がピークだ。当面の収支見込みが改善したとはいえ、健全化には遠い。緩みを招くことがないように、知事は財政運営の手綱をしっかり引いてもらいたい。