猛暑が続くと人気が高まるスポットの一つに鍾乳洞などの洞窟がある。外界に比べ空気の動きが少なく、太陽光の影響も受けにくいので温度が一定に保たれる。真夏でもひんやりして心地いい

▼日本で最も深い洞窟は糸魚川市の白蓮洞だ。深さは513メートル。地下に向けて縦方向に伸びる鍾乳洞である。もっとも、白蓮洞がある一帯は非常に険しい地形で通常は立ち入ることはできない

▼白蓮洞をはるかにしのぐ地下深くまで穴を掘り、活用しようという取り組みが注目を集めている。地球温暖化を引き起こす二酸化炭素(CO2)を、地下深くに送り込んで貯留するという。北海道での実証実験を先日の紙面が伝えていた

▼発電所や工場の排ガスからCO2を分離し地下1000~1200メートルの地層に封じ込める。本県でも2030年度までに年間150万トンを貯留する計画がある。ビジネスとして成立する仕組みづくりが課題だが、脱炭素社会の実現に向け期待を集める技術だ

▼一方、原発から出る「核のごみ」を最終処分する場所も地下深くになるらしい。国の方針では、地下300メートルより深い岩盤に埋めることにしている。国内では最終処分場はまだ設置されていないが、北海道や長崎県で処分場選定に向けた文献調査に関する動きがある

▼現に原発が存在する以上は、活用するか否かに関わらず必要な施設になる。ただ、地震国の日本で安全性を確保できるのか見通せないとする声もある。地下という未知の場所を、どう使うかが問われる。

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