「日本の四季 秋がなくならないか心配です 気象予報士」。先日の本紙投稿欄ワンショットの嘆きだ。この夏の異常な猛暑を体験していると、確かにしゃれに聞こえない

▼ネットやニュースでも「日本は四季から『二季』へ?」(ニューズウィーク日本版)などと、この国から四季の節目が薄れているのではという声が相次ぐ。真夏日が早く訪れ、夏が長引くため、春と秋が短くなっているという

▼世界も日本も6~8月は、観測史上で最も暑い夏だった。偏西風の蛇行やフェーン現象、高い海水温など、原因は諸説ある。だが根本には国連事務総長が「地球沸騰化の時代」と警告したように、歯止めのかからない温暖化があるのは間違いないだろう

▼8月、本県は突出していた。この月は新潟市中央区、長岡市、上越市(高田)などで平均気温が初めて30度を超えた。新潟と長岡は平年より4度以上高い。県内で全国最高気温を記録した日数は実に13回に上った。9月に入っても冷房が欠かせない

▼熱中症による救急搬送者は9月10日現在、本県で1990人を超え、去年より70%も増えた。全国の25%増を大きく上回る。秋の彼岸入りが20日に迫っているのに高温傾向はしばらく続く予報だ

▼気候変動の激化で逆に豪雪が増えるという指摘も多い。本県は夏は酷暑続きで冬はドカ雪と、とんでもない落差に見舞われるのか。暖暑涼寒でほどよく彩られる四季が両極端な二季に近づくなんて。そんな味気ない郷土の暮らしは勘弁してほしい。

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