昨年のサッカーW杯で強豪国を破った日本代表の活躍は記憶に新しい。大会直前の下馬評は高くなかった。本社の読者アンケートでは半数が1次リーグ敗退と見ていた

▼ところが109人の回答者で1人だけ「優勝」を予想していた。理由は明快だ。「三笘(薫)がいるから」。「三笘の1ミリ」と話題を呼んだスペイン戦でのアシストや、その後の躍進を見ると、予想はあながち的外れではない。敬意を表したい

▼今夏、三笘選手がイングランドのリーグ戦で奪ったゴールは圧巻だった。ドリブルで瞬く間に4人を抜き去りシュート。世界最高峰の舞台で際立つスピードに「ブラボー」と声を上げたくなった

▼かつての代表では、エースの中田英寿選手や本田圭佑選手がためらいなく「W杯優勝」を掲げ、歯に衣(きぬ)着せない発言はサッカー以外でも注目を集めた。三笘選手をはじめ今の代表はひと味違う。おとなしいわけではない。プレーそのものでサッカーの面白さを体現しファンを引きつける

▼来月13日、新潟では5年ぶりの代表戦がある。ビッグスワン初の国際試合があった22年前と同じカナダが相手だ。あの日、スタジアムに向かう人並みはシャトルバスがさばききれないほどだった。新潟のサッカー史の転換期だった

▼アルビレックスが地域に根付き、新潟から選手が海外移籍することも珍しくはなくなった。サポーターの目も肥えてきた。今度の代表戦では、想像を超えるプレーを見せてほしい。願わくば新潟にゆかりのある選手に。

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