どんな状況にあっても全力を尽くす選手たちの姿を見て、多くの人が勇気と感動をもらったのではないか。

 ただ、目標のメダルを獲得して輝きを放つ選手たちの一方で、失格やアクシデントに見舞われる悲運も相次いだ。光と影が際立つ大会だった。

 北京冬季五輪がきょう20日、閉幕する。

 日本が獲得したメダルは19日現在、金3、銀5、銅9の計17個。前回平昌大会の13個を上回り、冬季五輪最多となった。

 カーリング女子の日本(ロコ・ソラーレ)は最終日、初の決勝に挑む。健闘を期待したい。

 スピードスケートで5種目に挑んだ高木美帆選手は、最終種目の女子1000メートルで個人初の金、他の種目でも銀3個を奪い、苦しみながらもオールラウンダーとしての強さを発揮した。

 ノルディックスキージャンプ男子のエース小林陵侑選手は個人2種目で金、銀に輝き、前評判通りの実力を見せた。

 本県選手も躍動した。特にスノーボードは男女ともに歴史を塗り替えた。

 男子ハーフパイプでは、村上市出身の平野歩夢選手が悲願の金を獲得した。最高難度のトリプルコーク1440(縦3回転、横4回転)を完璧に決め、逆転勝ちしたのは見事だった。

 スノーボードで日本勢金第1号、冬季大会県勢初の金、日本選手初の3大会連続メダルと、数々の記録を残した。弟の海祝(かいしゅう)選手は9位だった。

 女子ハーフパイプでは妙高市出身の冨田せな選手が同種目初のメダルとなる銅に輝き、妹のるき選手は5位に入賞した。

 フリースタイルスキー女子モーグルでは川村あんり選手(湯沢学園出)が5位入賞した。

 いずれの選手もまだ若く、今後のさらなる活躍が楽しみだ。切磋琢磨(せっさたくま)しながら日本のスノーボード、スキー界をけん引してほしい。競技に挑む地元の子どもたちにとっても励みになる。

 忘れられないのは、力を出し切れず涙をのんだ選手の姿だ。

 ジャンプ混合団体で高梨沙羅選手はスーツの規定違反で失格した。それでも団体4位に食い込み、日本ジャンプ陣のあきらめない気持ちが伝わった。

 高梨選手は「大変な事をしてしまった事、深く反省しております」などとインスタグラムに投稿した。自分を責めずに、再起してくれることを願う。

 ロシアのドーピング問題の根深さが改めて浮き彫りになった大会でもあった。

 フィギュアスケート女子でロシア・オリンピック委員会のカミラ・ワリエワ選手のドーピング問題を巡り、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が、ワリエワ選手が15歳で「要保護者」であるとして出場を認めた。

 真相を究明するとともに、CASや国際オリンピック委員会(IOC)の判断が適切だったか徹底検証が欠かせない。

 ほかにも判定やルールの妥当性について選手らから疑問の声が出ている。課題を洗い出し、次に生かすべきだ。