季節の食材を使った総菜が並ぶ「魚菜屋」。和のおかずが中心で、どこか懐かしい雰囲気がある=長岡市新保2(長岡支社・新井田悠撮影)

 作る時間がない、食卓にあと一品ほしい。まちの総菜店は、忙しい日や疲れた日に頼りになる存在だ。

 小学1年と2歳の育児に追われる記者も、総菜をよく利用する。「今日のごはん何?」「おなかすいた!」。仕事で遅くなった日は無邪気な声がプレッシャーに感じることもある。だからそんな日は、帰宅途中にある総菜店に立ち寄ることにしている。

 「いらっしゃいませ」。行きつけの店では店主の明るい声が響く。店内では、煮物、揚げ物、サラダといったおかずが大皿の上に、所狭しと並ぶ。思わず目移りするほどの種類だ。

 自分で作るよりは少し割高かもしれないが、ゆっくり食卓を囲み、ほっと一息つく時間は何ものにも代えがたい。

 時間がない日だけでなく、「あの味が食べたいな」と、お気に入りの総菜が頭に浮かぶこともある。献立が思いつかない時も、わが家の食卓を支えてくれている。

 そんなありがたい存在の総菜店をもっと開拓し、おいしいおかずにも出合いたい。取材を始めると、「手抜きしたい日にうちを使って」と、心強い一言をもらい、ますます通いたくなった。

 記者の住む新潟県長岡市内の総菜店を訪ね、地元で愛され続けているおかずや作り手の思いを聞いた。...

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