野球の本場、米大リーグの1世紀以上続く歴史の中で、日本人選手が史上初の快挙を成し遂げたことを誇りに思う。来季以降も多くの人たちに夢と希望を与え続けるに違いない。
投打「二刀流」で活躍した大谷翔平選手に2年ぶりに選出された。
MVPは、全米野球記者協会会員30人の投票で決まり、大谷選手は全員から1位票を得た。
2021年に続く満票での受賞で2度目は史上初となる。日本人選手の複数回受賞も初めてだ。
エンゼルス6年目の今季は、打者では44本塁打を放ち、日本人初の本塁打王を獲得した。投手では10勝を挙げ、メジャー初の2年連続「2桁勝利、2桁本塁打」を達成するなど、常識を覆す偉業の連続だった。
打者の成績だけでもMVPの見方があった中、投手での活躍を加えれば、満票でのMVP獲得は当然のことだろう。
大谷選手は受賞者発表後「投打のバランスがすごく良く、より高いレベルでこなせていたと思う」と語った。
受賞の背景には人一倍強い探究心がある。対戦投手の投球を完全に再現できる最先端の打撃マシンで、球速や変化量をより難しく設定したり、打撃練習で1球ごとに打球速度を確認したりした。
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などで、走攻守を全力でプレーする姿は、野球の魅力を存分に伝えた。
球場外でも大谷選手の活動は素晴らしかった。
自身のインスタグラムで、日本国内の全小学校約2万校に三つずつ、計約6万個の子ども用グラブを寄贈すると発表した。
「子どもたちが野球というスポーツに触れ、興味を持つきっかけになってほしいと願っています」とコメントした。
大谷選手に憧れる多くの子どもたちがこのグラブを着けてプレーするだろう。野球の裾野が広がることを期待したい。
今オフには大谷選手はフリーエージェント(FA)になり、来季の所属チームがどこになるかが注目されている。
9月に右肘を手術したため、来季は打者のみで、二刀流の復活は25年になる見込みだ。
「1回目の手術よりスムーズに来ている感覚はある」と話した。
順調に回復し、来季もファンを驚かすプレーを楽しみにしたい。
