
クラフトビールやクラフトジン、クラフトウイスキー…。近年、小規模ながらも製法にこだわる「クラフト」系のアルコール飲料がブームとなっている。その中で今回紹介するのが、日本酒の醸造技術をベースにした「クラフトサケ」という新ジャンルの酒だ。
2022年に設立されたクラフトサケブリュワリー協会によると、クラフトサケは米を主原料とする日本酒の醸造技術があくまでベースだが、副原料にさまざまな材料を加えたり、米こうじだけで仕込んだりするなど、従来の日本酒では法的に採用できない工程を取り入れた酒だ。もろみをしぼらない、どぶろくも該当する。

クラフトサケ誕生の背景には、日本酒の国内出荷量が減少傾向で、需給調整の観点から事実上、製造免許の新規交付が認められていない現状がある。ただ、日本酒の製造工程で副原料を入れるなどし「その他の醸造酒」として販売することは可能なため、その他の醸造酒の免許を取得し、新規酒蔵を立ち上げる例が相次いでいる=下の図参照=。

フルーツやトマト、ハーブを加えたものなど、各社は創意工夫を凝らした商品を展開している。味わいも多種多様で、従来の日本酒のイメージを大きく覆し業界に新たな風を吹かせているクラフトサケ。
ぜひ一度、手に取ってみませんか。...
残り3367文字(全文:3896文字)