爆撃音や銃声が夜通し響き、子どもを含む民間人の命が奪われる事態に陥っている。

 戦闘が長期化すれば泥沼化するのは確実だ。これ以上、犠牲を増やすことは許されない。

 ロシア軍によるウクライナへの侵攻を巡る両国代表団の停戦交渉が28日、初めて行われた。

 前提条件を付けないとするウクライナに対し、ロシアはウクライナの中立と非武装化、北大西洋条約機構(NATO)への加盟断念を求める立場だ。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は交渉前、「大きな期待はしていない」と述べていた。ウクライナには一方的に侵攻し、主権に介入しようとするロシアに従う理由はどこにもない。

 ロシア側は強硬姿勢を崩さず、侵攻した軍部隊を残したまま交渉に臨んだ。圧力をかけて交渉を有利に進めようとする狙いがあったとみられている。

 大国の態度として疑わざるを得ないのは、ロシアのプーチン大統領が「NATO側から攻撃的な発言が行われている」とし、核抑止力部隊を高い警戒態勢に置くよう命じたことだ。

 核戦力行使を示唆した侵攻当初の発言よりも踏み込んだ。核戦力を持ち出して威嚇する言動は、到底容認できない。

 戦闘では親爆弾が多数の子爆弾をまき散らし、殺傷力が強いクラスター弾が使われ、市民が死亡したとの報告もある。侵攻が長期化すれば、さらに人命が軽視される懸念がある。

 ロシアの暴挙に対して、世界中で怒りの声が高まっている。反戦活動はロシア国内でも広がり始めている。

 国連は28日、安全保障理事会の要請としては40年ぶりとなる緊急特別会合を開催。国際社会がロシアに向ける視線は厳しさを増している。

 停戦が実現しなければ、反ロシア感情や国際的非難はさらに高まっていくだろう。

 停戦交渉の合意に先立ち、米国と欧州連合(EU)はロシアに対し、国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から一部の銀行を排除する追加制裁で合意した。

 実行されれば、ロシアとその他の国との送金や決済が難しくなり、貿易などに支障が出る。

 国際法に背いて「力による現状変更」を試みるロシアに対し、欧米が足並みをそろえて強硬姿勢に出る形だ。エネルギー輸入をロシアに依存し、消極的だったドイツも容認に転じた。

 岸田文雄首相もSWIFTから排除する追加制裁を巡り「取り組みに加わる」として支持した。プーチン氏を含むロシア政府関係者に資産凍結などの制裁措置を取ることも表明した。

 撤兵を実現し、ウクライナが一日も早く日常を取り戻せるように、各国は協調してあらゆる手段を講じたい。

 ウクライナでは多くの国民が国外待避を続けているが、総動員令を受けて国内にとどまらざるを得ない人もいて、多くの家族が離れ離れになっている。

 国際社会は人道支援にも全力を挙げなくてはならない。