佐渡と能登はゆかりが深い。古くから海路で行き来があったらしい。金を求めて多くの人が島へと渡った。北前船が行き来する交易ルートもあった。佐渡の文化や言葉は、能登をはじめ北陸や西日本の影響が濃いとされる
▼ともに海の近くに集落や棚田がある。国産トキが生息していた。現在も能登に佐渡のトキが飛来することもあり、本州での放鳥候補地になっている。2011年には、国内初の世界農業遺産として同時に認定された
▼佐渡との共通点も多い能登が元日に激しい揺れに見舞われた。以降、この地域では地震が続いている。震央の分布を見ると、多くが能登半島北部から佐渡方面にかけての線上に位置している。地下の構造でもつながりがあるのだろうか
▼本県も、中越地震や中越沖地震をはじめ多くの災害を経験してきた。倒壊した家屋や寸断した道路、集落の孤立や物資・情報の不足…。能登半島地震の惨状を目にして、かつての被災体験がよみがえる県民もいるだろう
▼今回の地震では、本県でも被害が多発した。県内被災者の生活再建に力を注ぎたい。同時に、能登の人々にも心を寄せていたい。大切な人や生活する場所を失い、途方に暮れる人々がいる
▼能登ではまだ、個人からの物資やボランティアを受け入れる態勢が十分ではないようだ。やみくもに支援しようとしても、緊急対応の妨げになりかねない。遠からず、多くの力を必要とする時期がやって来る。数々の災害に耐えてきた新潟の経験はきっと役立つ。