冬に起こる災害は、ほかの季節に増して厳しさが募る。打ちひしがれた被災者に、寒さが追い打ちをかける。能登ではまだ燃料が十分に入手できないようだ。体調を崩す人が増えているようで気にかかる

▼私たちが暮らす新潟は、冬になれば雪から逃れられない。先月下旬は新潟市など海岸部でも、まとまった降雪があった。想像してみる。積雪がある状態で今回の地震に襲われていたら、どんな事態に陥っただろうか

▼先月下旬の積雪は新潟市中央区で一時40センチを超えた。水分の多い、重い雪だった。その状態で強い揺れに見舞われていたら、建物が壊れる被害が拡大していた可能性がある。倒壊した建物の下敷きになる人もいたかもしれない

▼今回は県内の海沿いにも津波が到達した。避難した人も多かったが、降雪の状況によっては車での移動はおろか、徒歩で逃げることも容易ではなかっただろう。避難できた場合も、屋外で雪を避けるすべがなければ寒さで体力を奪われそうだ

▼新潟市などでは激しい揺れが地盤の液状化を引き起こした。地面が雪に覆われていたら被災した場所の把握にも時間がかかったかもしれない。緊急車両が通行する際も、まず道路の除雪が必要になる。道路などの復旧作業も雪をどかしてからだ

▼気が重くなるばかりだが、私たちは複合災害が起こり得ることを東日本大震災時の原発事故で学んだ。降雪期はその恐れが強まる時季といえる。いま一度、備えを考えたい。雪の季節は、これからが本番である。

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