感染が収まったとは言えない中での解除だ。そのことを忘れず、リバウンドを招かぬよう緊張感を持って過ごしたい。
政府は6日、31都道府県を対象に適用していた新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」について、東京、大阪など18都道府県で延長し、本県を含む13県は解除した。
本県では1月21日に適用されて以来、1週間当たり3200~3400人台の新規感染者が確認され、高止まりした状態が続いていた。しかし直近1週間では1割近く減少した。
県は爆発的な感染拡大は抑えられたとして延長を要請せず、社会経済活動と感染防止対策を両立させる判断をした。
ただ新規感染者数の減少スピードは遅く、なお400人前後が確認される日がある。そのことをしっかり肝に銘じたい。
県は先行して重点措置を終了した他県の状況から、解除後にある程度のリバウンドが起こることは想定し、一定のリバウンドがあったとしても医療逼迫(ひっぱく)は避けられると見込んでいる。
県内の新型ウイルス病床の使用率は2日現在25・2%で全国的に見ても低く、高度な治療を必要とする中等症患者の数も比較的抑えられているためだ。
しかし、重症化しやすい高齢者が多く利用する介護施設などでクラスター(感染者集団)の発生が相次げば、状況が急速に悪化する懸念はある。
マスクの着用や手洗いの励行といった基本的な対策をしっかり継続したい。
重点措置の終了に伴って、飲食店への時短要請や酒類提供の制限はなくなり、感染拡大で中止されていた県民向け宿泊割引なども再開される方向だ。
イベントの開催人数、県立学校の部活動の時間などでも制限が撤廃される。
飲食店や関連する業者、観光業界などからは売り上げ回復に期待を寄せる声が聞かれる。
気になるのは、収束への切り札に位置付けられるワクチンの3回目接種が、見込んだように進んでいないことだ。
政府は3回目の接種間隔を前倒しし、希望する65歳以上の高齢者への接種は2月末までにほぼ終える見通しだったが、全国で51・7%にとどまった。
本県全体の3回目接種率は2月末時点で16・0%と、全国で2番目に低い。
接種が進まない背景には積雪が多かったことなどもあるとみられる。希望する人がスムーズに接種できるようにしたい。
オミクロン株の感染拡大は落ち着きつつあるものの、派生株「BA・2」への置き換わりによっては状況は悪化しかねない。そうした兆しを見逃さずに対応をする必要がある。
これからの季節は1年で最も人の往来が盛んになる。本県からは進学や就職で首都圏と行き来する人が増える時期だが、こうした地域ではまだ重点措置が継続されている。
感染拡大が全国で確実に収束に向かうまで、警戒と対策を怠らずにいたい。
