タブレット端末をどう活用するのだろう。能登半島地震で、被害の少ない地域へ集団避難した中学生に思いをはせる。国のGIGAスクール構想で全小中学生に端末が配られている。倒壊した家屋などから持ち出せなかった子もいるはずだ。国は被災地向けに学習用端末を無償貸与すると発表した

▼石川県教育委員会の2020年度調査では県内の中学1年生のスマートフォンなどの所有率は58・4%。避難生活で通信手段を持たない子も一定数いるようだ。国から支給される端末は家族との連絡に使えるだろうか。学習の用途からは外れるけれど、不安や寂しさを紛らわせるツールになる

▼新潟市西区の坂井輪中は地震で校舎が使えなくなり、1、2年生はオンラインで授業を再開した。その様子を伝える本紙には、端末を活用して自宅で授業を受ける生徒の写真が載っていた

▼わが家の小学生に端末について聞いてみた。「オンライン授業はこれを使う」「文字のメッセージならこれで送る」。数多いアプリから瞬時に選んだ。使い慣れている

▼親としては正直、端末が目障りだった。プログラミング練習用のアプリを使えば、ゲームを作成できる。そのゲームばかりしている。腹を立てて家のネット回線を切断すると「宿題ができない」と文句を言う。勉強の邪魔でしかないとすら感じていた

▼だが、いざという時、端末は子どもたちにとって心強い味方にもなることが分かった。どうか依存せず、うまく使ってほしい。親世代の願いだ。

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